ビリー・アイリッシュからサザンやラルクまで。2019年エンタメ重要トピックス

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 2019年も洋画、洋楽、TV番組など、海外エンタメの世界では、この先の潮流をも大きく変えうるような出来事が多く起こった。本稿ではそのなかから7つの項目をピックアップして振り返る。

ネトフリ作品が猛威を振るう

1.ビリー・アイリッシュの現象的成功  音楽界では、センセーショナルな17歳の少女、ビリー・アイリッシュが国際的な大センセーションを巻き起こした。そこまでの若さでありながら大物プロデューサーの力を借りず、サウンドはすべて4歳上の実兄フィニアスとの手作り。そんな兄妹の織りなすヘヴィなベースラインに多彩なハーモニーを交えた独自のダーク・ポップ・サウンド、そして屈折や皮肉、悲しみを歌いながらもほのかな希望も歌う歌詞は、現代のネット社会に増加中の、苦悩するエモい10代の少年少女たちのハートを突き刺した。  デビュー・アルバム『When We All Fall Asleep, Where Do We Go?』は、世界中のヒットチャート上で、発売から半年以上経った現在もトップ10から外れない異例のロングヒットを記録中。新世代の新たなバイブルの誕生だ。 2.ネットフリックス作品の台頭  TV界を席巻したのは今年もネトフリックスだった。大人気青春ミステリー『ストレンジャー・シングス』の大ヒットがあったのに加え、黒人差別、そしてレイプ被害ならびに捜査の実情を描いた『ボクらを見る目』『アンビリーバブル たった1つの真実』といった社会派のミニ・シリーズ・ドラマは批評的に絶賛された。  また、映画配給にも本格配信を続けているネットフリックスは’19年3月のアカデミー賞でアルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』があと一歩のところで作品賞を受賞しそうになるなど大健闘。’20年のオスカーでも『アイリッシュマン』『マリッジ・ストーリー』が有力候補になるなど、映画界の制覇も目前に近づいている。

過熱化するファンが表現の自由に影響?

3.GOTファンダム問題  一方、ネットフリックスのライバル、有料ケーブル大手のHBOは今年、看板番組の『ゲーム・オブ・スローンズ』での視聴者の反動に戸惑う一年だった。最終シーズンということもあり、国際的に記録的な視聴者数は誇ったものの、人気キャラクターに有利に話が進まない意外な展開などにより、熱心なファンがそれぞれの回の放送後にネット上で荒れる現象が生まれた。  同様の傾向は’17年に『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でも起こったものだ。作品の内容的には賛否が別れているが、「視聴者のストーリー展開への過剰な口出しは、製作者側の表現の自由に抵触するのでは」と懸念する意見も出ている。 ◆4.格差社会映画  映画の興行のほうでは、相変わらず『アベンジャーズ/エンドゲーム』をはじめとしたスーパーヒーローものが強かったが、そのなかで異彩を放ったのがホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』だ。  「悪役が主役」という展開も珍しかったが、バットマンの父トーマス・ウェインやウォール街を「冷酷な富裕層」とし、ジョーカーを「格差社会が生み出した産物」として描いたことで、悪役のはずが共感を得てしまう現象が国際的に生まれた。  同様の現象は今年のカンヌ映画祭の最大賞パルムドールを受賞し、来年のアカデミー賞有力候補でもある韓国映画『パラサイト 半地下の家族』でも起こっている。
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