Facebook発仮想通貨、「リブラ」の“死”で、仮想通貨の未来はどうなる?

暗礁に乗り上げた「リブラ」プロジェクト

 フェイスブックの仮想通貨「リブラ」が暗礁に乗り上げた。
FBのマーク・ザッカーバーグCEO

FBのマーク・ザッカーバーグCEOは「リブラ」について、「米当局の承認」を事業開始の条件とする考えを示したが…… 写真/時事通信社

 6月に計画が発表されるや、フェイスブックが抱える27億ユーザーのポテンシャルに加え、「創立メンバー」にクレジットカードのVISAやマスターカード、新興勢のPaypalやebayなど、世界的大企業が参加していたことから、仮想通貨の発展に向け強い追い風になると期待されていた。  リブラの目的を、仮想通貨に精通する金融ライターの児山将氏が説明する。 「銀行口座を持っていない人は、世界人口の30%超の17億人もいる。手数料が安く、瞬時に決済できるリブラの最大の目的は、こうした人々への金融サービスの提供だったのです」

トランプの恫喝でVISAやマスターも離脱

 ところが、各国規制当局から猛反対の声が相次ぎ、10月の米下院公聴会でザッカーバーグCEOは「当局の承認がなければ始めない」と答弁。’20年前半としていた開始時期は、見通しさえ立たなくなったうえ、VISAやマスターカードなど、数社が離脱した。 「反対の急先鋒は米国で、トランプ大統領は仮想通貨への敵意を隠そうともせず、米上院議員はVISA、マスターカードの幹部に半ば脅しのような手紙を送っていた。欧州でも独仏伊の3国が、連携して阻止することを明言しており、欧米が足並みを揃えて“リブラ潰し”に乗り出していた。各国とも、マネーロンダリングやプライバシー保護が不十分と批判。各国の金融政策への悪影響を懸念していたが、実のところ、自国通貨が脅かされるのを恐れているのでしょう。膨大なユーザーを抱えるフェイスブックの仮想通貨へマネーが流入すれば、法定通貨から資金が逃避しますから」
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リブラの「死」が仮想通貨の未来に与える影響は?
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