「桜を見る会」問題で官邸前で抗議集会。改めてその異常さを問う

「桜を見る会」への政権の対応は

桜を見る会への抗議 11月28日、小雨がぱらつく寒空の下、「桜を見る会」における一連の問題へ対し、市民団体が官邸前で抗議集会を開いた。  市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の呼びかけに集まった市民の他、主要野党でつくる首相主催「桜を見る会」追及本部から、黒岩宇洋衆院議員(立憲民主党)、柚木道義衆院議員(無所属)、田村智子参院議員(日本共産党)、福島瑞穂参院議員(社民党)、高良鉄美参院議員(無所属)の5名も駆けつけた。 横断幕 集会では、「(安倍首相は)予算委員会に応じろ!」「(安倍首相は)うそをつくな!」といった声が、方々から上がった。また、参加者に話を聞いたところ、安倍首相が説明責任を果たさない点や、公文書である招待者名簿を廃棄した点に、多くの人が強い不満を持っていた。  本記事では、首相主催の「桜の見る会」及び前夜祭における公職選挙法違反や政治資金規正法違反などの法的問題の部分は割愛し、「桜を見る会」問題への安倍政権の対応に焦点を絞り、経緯や問題点を指摘する。  そもそも「桜を見る会」とは、1952年に吉田茂首相が開催したのが始まり。毎年4月ごろに、皇族や外国の大使、国会議員、文化・芸能、スポーツなど各界の功労者が招かれ、新宿御苑で開催される。来場者は年々増加し、2014年は約1万3700人だったのが、2019年には1万8200人まで増加した。それにともない経費も14年の約3000万円から19年は約5500万円に増加した。

「首相枠、政治枠はない」との答弁から一転してその存在を認める

・2019年4月13日 桜を見る会が新宿御苑で開催。 ・5月13日 決算行政監視委員会において、宮本徹衆院議員(日本共産党)により「桜を見る会」の支出が昨年の国会で承認された予算計上額の3倍だったことが発覚。 ・5月21日 財務金融委員会において、宮本徹衆院議員(日本共産党)による「桜を見る会の開催要項に毎年1万人目安と書かれているにも関わらず、招待状が目安から約5000人多く送られたのはどこの省庁からの推薦が増えたからなのか」との質問へ対し、内閣府の職員は、「各省庁からの数というものは、資料が残っていない。それらは、1年未満の文書というふうに整理し、桜を見る会が終わったので破棄した」と回答。 ・11月8日 予算委員会において、田村智子参院議員(日本共産党)が赤旗の報道を引用し、「桜を見る会の参加者が毎年増加しているのは、安倍首相や与党議員の後援会の支援者を呼んでいるからでは?」と質問。さらに「開催要領の逸脱が疑われている。この支援者の方々はどのような功績があるのか?」と追及するも、安倍首相は「個々の個人名等々についてはお答えは差し控えさせていただきたい」との発言を繰り返すのみ。    また、安倍首相は「私は、主催者としての挨拶や招待者の接遇は行うのでありますが、招待者の取りまとめ等には関与していないわけであります」と発言。 ・11月13日 朝日新聞の報道で、「桜を見る会」が組み込まれた観光ツアーへの参加を、安倍晋三首相事務所の名義で地元の有権者へ案内する文書が明らかになった。  ツアーの中に、「ホテルニューオータニ」で開かれた安倍首相夫妻同席の前夜祭(会費1人5000円の立食パーティー)が組み込まれていたことも明らかに。 <朝日新聞:(時時刻刻)桜を見る会一体ツアー コース選択、首相夫妻と夕食会、すんなり入場> ・同日 午前 菅義偉官房長官は記者会見で、「首相枠、政治枠という特別なものはありません」と述べた。 ・同日 午後 菅官房長官は記者会見で、「安倍首相の判断で、来年度の桜を見る会を中止にすることにした」と述べた。また、午前の会見では「首相枠、政治枠はない」と発言していたにも関わらず、「慣例として、官邸内や与党にも推薦依頼を行っていた」と一転して、その存在を認めた。
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資料の破棄やジャパンライフの招待が発覚
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