真っ赤なロードスターで「日本一旨い」焼き芋を売る男がいた!

 横浜・みなとみらい21(MM21)エリアを中心として”日本一旨い”焼き芋を移動販売しているお芋屋さんがいる。「えるろこロド芋!『鬼いちゃん』」。驚くなかれ、真っ赤なスポーツカー「マツダ・ロードスター」の荷台には、焼き芋窯が乗っている。
愛車のロードスターと店主の井上昌さん

愛車のロードスターと店主の「鬼いちゃん」こと井上昌さん

2年前から始めた「ロド芋!」

「マツダ・ロードスター」で焼き芋販売をやっているのは、横浜市在住の井上昌さん(28)。2年くらい前、「ロド芋!」というブランド名を引っ下げて営業を始めると、その物珍しさも手伝って、SNSや口コミで一気に広がった。今では、リピーターもいる。井上さんは、定休日を除いて、販売をする場所をツイートしている。最近は、みなとみらい駅前や横浜駅ロータリー、横浜赤レンガ倉庫で販売することが多い。最初は、1台でやっていたが、今年6月に2台体制になった。そして、つい最近3台目も加わった。今回、取材した日本大学芸術学部江古田キャンパス(東京都練馬区)で行われた芸術祭には、3台の「マツダ・ロードスター」が並んだ。あまりにも壮観だ。
3台のロードスターが揃い踏みした

3台のロードスターが揃い踏みした日本大学芸術学部江古田キャンパス

「今、通常営業で2台使っています。自分を含めた3人が交代で販売しています。自分が乗っている車は、マツダ・ロードスターの3代目でNCというタイプになります。ドリフト用のクルマなので、乗ってて楽しいクルマです。3台目は、カーマニアの方々の車になります。こちらは、イベント専用車両になります。クルマのオーナーの方々にも(焼き芋ロードスターを)体験してもらおうと思って始めました。ロードスターのNA、NB、NCというタイプならオッケーです」(井上昌さん)

「遊び」だからこそどんどんアイデアが出る

 筆者は、幾度となく通って焼き芋を食べてきた。横浜まで電車に乗って行くのだ。片道1時間以上かかる。でも、それでいい。お世辞なしに言うが、「本当に旨い。はっきり言って旨い」。普通、焼き芋というのは、「ホクホクで甘い」のが売り物だ。ところがそんなレベルのものではない。「トロトロで甘い。甘い。旨すぎる!!」のだ。炭を使ってじっくりと焼き上げたお芋からは、『蜜』が染み出している。この『蜜』が口の中に入ると「ジワァ〜〜」っと広がる。スプーンで『蜜』をすくって食べている人もいる
蜜をスプーンですくって食べる人も!

蜜をスプーンですくって食べる人も!

 使っているお芋は、千葉県産の「べにはるか」だ。1本300円~800円で販売しているが、時々、1500〜2500円のビッグサイズを販売することもある。2500円のものは、1.5キロもある。芸術祭では、500円と800円のものが飛ぶように売れていた。 「自分の場合、『遊び』なんです。(クルマは、)おもちゃなんですよ。『遊び』としてやっていけばいくほど、どんどんアイデアが出るんです。自分の最低の収入を決めておいて、それを確保できるようになったら、どんどん攻めていくことが大切です。おもちゃを使って、お金を生み出すことは楽しいです。でも、成功したいと思ったら、遊びだけを求めてもダメですよね。商売だけを求めていてもダメです。そのバランスが大切だと思います。8万キロくらい乗ったときに『このクルマで何かを始めてみよう』と思ったんです。それが焼き芋屋でした。マツダ・ロードスターでやり始めたのがインパクトになったと思います。今は、お手伝いをしてくれる人が入ったので、みなさんの要望に応えることができるようになりました」(井上昌さん)
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焼き芋ブームのいまだからこその「差別化」
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