かつて原子力推進を「申し訳ない」と謝った小泉進次郎、安倍政権の原発再稼働に“お墨付き”を与える存在に!?

小泉進次郎環境大臣、原発推進については何も触れず

小泉進次郎大臣

知事面談後に記者会見に臨んだ小泉進次郎大臣

 第4次安倍再改造内閣の“目玉”の小泉進次郎環境大臣(38歳)がさっそく、脱原発を願う福島県民の期待を裏切った。初入閣翌日の9月12日、いわき市の福島県漁連で前環境大臣の汚染水海洋放出発言について謝罪した後、福島県庁を訪れて内堀雅雄知事と面談。中間貯蔵施設や復興などについて意見交換をしたが、安倍政権の原発推進政策へについてはなにも触れなかったのだ。  指名形式の記者会見が終わった直後、指名されなかった筆者は「原発ゼロを訴える考えはあるのでしょうか」と声をかけたが、進次郎氏はすぐに視線を背けて無言のまま立ち去った。前日の会見でも、原発再稼働の是非について考えを述べなかった。  父親の小泉純一郎元首相は福島原発事故後、経産官僚ら原発推進派に「原発は安全・クリーン・安い」と騙されて推進した首相時代の過ちに気がつき、「過ちては改むるに憚ることなかれ」の気持ちから「原発ゼロ」を訴える全国講演行脚をスタート。「福島原発事故後、原発稼動ゼロでも電力不足にならなかった。即時原発ゼロは可能」と強調しながら、再生可能エネルギーへの転換を提唱している(小泉純一郎談・吉原毅編『黙って寝てはいられない』参照)。  この訴えは福島県民の思いと重なり合うものだ。小泉進次郎大臣を県庁前で待ち構えて挨拶をしたWさん(福島市の女性)は「福島にまず来ていただいたことに感謝しています」と言いながら、進次郎氏の原発ゼロの旗振り役としての期待感を口にしていた。 「進次郎さんには、日本中に原発がないようにしてほしい。福島の悲劇を二度と繰り返さないために、第二の福島を作らないようにしてほしい。また原発事故が起こる可能性はないとは言えませんから。それが福島県民の願いです」

かつて原子力推進について「申し訳ない」と謝っていた進次郎氏

福島県庁で内堀知事と面談

環境大臣に就任した翌9月12日、福島県庁で内堀知事と面談をする小泉進次郎大臣

 16時からの面談では、内堀雅雄知事が進次郎氏に初めて会った日(2011年5月18日)のことを次のように振り返った。進次郎氏は、原子力推進について「申し訳ない」と謝っていたというのだ。 「原発事故から2か月ぐらい経った頃でした。当時、衆議院の予算委員会のメンバーとして(進次郎氏が)福島県庁に視察に来られました。私が驚いたのは、立ち上がって話した言葉です。『これまで原子力政策を進めてきた。その結果、福島県民の皆さまにこのような大変な迷惑をかけた。苦労をかけてしまっていることを本当に申し訳なく思う』と言って、深く頭を下げられました。それが今でも心に残っています」  進次郎氏は、事前の県環境部長面談で「福島原発事故で除染などの事後処理業務に忙殺されて、それ以前の公園整備などの前向きの仕事に取り組みにくくなった」と聞いたことを明かし、「(県庁の)皆さんが前向きな仕事に専念できる環境を早く実現するため、環境省は全力でやる」との決意表明をした。  しかし、こうした苦境の元凶となっている原発推進政策を、未だに安倍政権が続けていることについては、進次郎氏はまったく踏み込まなかったのだ。
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