取引高世界一のビットコインFX取引所で世界5位となった日本人を直撃!

 値動きの激しいビットコインで100倍のレバレッジがかけられるBitMEXは、世界一の出来高を誇るビットコインFXの取引所だ。そんな鉄火場で世界5位にランクインした日本人がいる。本邦初の直撃取材を敢行した!

ハゲ先生

世界のトップランカー「ハゲ先生」を緊急直撃!

 日本から世界レベルのトレーダーが誕生していたことをご存じだろうか。世界最大規模の仮想通貨取引所BitMEXのリーダーズボード(収益率の世界ランキング)で5位を獲得したハゲ先生だ。’18年6月からのわずか5か月間で、ピーク時の利益は1615BTC。当時のビットコイン価格で計算すると、なんと10億円を超える額である。旋風のように登場し、去っていったトップトレーダーはどんな人物なのか。 「もともと株や為替を取引していました。ただ、自分には決定的に才能がなかった。それを気づかされたのが、’05年の12月8日でした」  この日に起きたのがジェイコム事件。みずほ証券が「1株61万円で売り」とすべき注文を「61万株を1円で売り」と誤発注した事件だ。

ジェイコム事件とスイスショックでぶつかったトレーダーとしての“壁”

「当時の自分は『ニートレーダー』(半ニートのトレーダー)。ジェイコム事件もリアルタイムで見ていました。板を見ると発行株数以上の売り注文が出ていて『なんだこれは!?』と。買うか、買うまいか悩んでいるうちに今度はストップ高に張り付いた。あとはもう指をくわえて見ているだけ。あれを買えない自分に才能はないな、と」  買いボタンをクリックできたか否かが、後の運命を大きく分けた。すかさず買って巨利を得たのが「ジェイコム男」ことB・N・F氏やcis氏。ともに現在は100億円以上の資産を築いている猛者中の猛者だ。 「その後、ある国家資格の試験に合格し、株に見切りをつけました。ただ、資格があるとはいえ『30代・職歴なし』。履歴書的にはアウトです(笑)。どうにか潜り込んだ事務所で先輩方の仕事を盗み見て、実務の腕を磨きました」  3年の下積み期間を経て、独立開業を果たすも、トレードに向けたほどの情熱はなかった。 「そのとき、見たのがニコニコ生放送のFX放送。10万円の元手を6億円へと増やした配信者が話題だったんです。まだ100倍以上のレバレッジが使えた時代です。これは面白いと為替の世界に入りましたが、何をやっても勝てなかった。FXはかなりの期間、苦しみました」  とはいえ連戦連敗ではなく、資金を増やす場面も多かった。ハゲ先生がもがき苦しんだのは「壁」だ。 「資金が増えても1000万円が近づくと負ける。それを乗り越えて次のステージだ! と思ったら、3000万円が壁になる。投資はこの連続だと思います。そんな私が5000万円の壁に挑んでいる最中に起きたのが『スイスショック』でした」  スイスの中央銀行が金融政策を突如変更し、スイスフランが暴騰した’15年の事件である。 「5000万円の壁を目前にして、資産を増やすどころか追証がかかってしまった。挫折感は深かったですね。FXでもダメか、と。でも負け続けるのは悔しい。まずはチャートを見ようと。何かしら特徴や傾向がつかめるかもしれないと思い、仕事している最中もチャートは開きっぱなし。家に帰っても寝る間を惜しんでチャートを見ていました。睡魔が襲ってきたらチャートを録画し、起きてから見返していました」  ハゲ先生が動いているチャートにこだわったのは理由がある。 「止まっているチャートに意味はない。動きこそ重要だと思っていました。売り手にロスカットさせ軽くしてから暴落する、など独特な動きをしたときには記録もつけました。『この動きをしたら、どんな結果になったのか』と経験値を積み上げる作業です」  この経験がのちにハゲ先生を世界ランカーへと押し上げる大きな要因ともなった。

ハゲ先生の壮絶なトレーダー人生

「チャートを見続けた結果、至った結論が『80~90%で勝ちが見込めるエントリーに厳選し、リスク・リターンを考慮する』ことでした。エントリー回数をひたすら絞って減らし、資金をジワジワ増やしていこう、と。具体的には、大きく動いて振り切ったところでの逆バリ。年3、4回のわずかなチャンスを狙って大きく張るスウィングトレードに切り替えたんです」  仕事を減らし、新たなスタイルに切り替え、少しずつ利益が残るようになってきた。 「いちばん稼いだのは南アフリカランドとトルコリラ。日本人はスワップ好きだから高金利通貨は買いに偏りやすい。その買いがロスカットされる場面で、売りを狙って5000万円ほど儲かりました」
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最初にビットコインを買ったのはバブルの真っ只中
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