Apple、Google、Amazon、各社投入の音声UI、あれは「誰が聞いている」?

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Apple契約会社がSiriとの会話を聞いていた

 7月の末に、Appleの請負業者が、Siri の録音データを聞いているという話が流れてきた(参照:ギズモード・ジャパン)。元々は、The Guardian の報道である。  聞き取り機能を改善するために、Apple ID を含まない録音内容を人間が確認しているそうだ。通常はほんの数秒らしい。ただ、内部告発者の情報によると、機密医療情報、麻薬取引、および性交渉をしているカップルの録音などが含まれるという。  Siri のような音声アシスタントでは、偶発的な起動が発生する。起動フレーズの誤認により意図せず録音が始まる。「シリア」という言葉に反応することもある。「ジッパーの音」を誤認することもある。様々な理由で、Siri はアクティブになる。  音声を聞くレビュアーは、Apple の厳格な機密保持要件を守る義務を負っている。しかし、音声を聞いていることは事実だ。他人に聞かれたくない内容を、ネット越しの誰かに聞かれる。たとえその内容が、それ以上外部に漏れなくても、不快に思う人はいるだろう。

Google、Amazonでも同様の話が

 こうした問題は、Siri だけのものではない。今年の4月、Amazon は「Alexa」の音声記録の一部を従業員が聞いていることを認めた(ITmedia NEWS)。会話のごく一部をサンプルとして聞き、タグ付けをしているそうだ。  スタッフは各言語ごとに数千人いて、1人につき1日当たり1000件前後の録音を処理している。もちろん機密保持契約を結んでいる。契約を守る限り、情報は外部に漏れない。しかし、知らない人間が会話を聞いている。  7月の上旬には、Google も「Googleアシスタント」の録音の一部を、社外の人間が聞き、テキスト化していることを認めた。音声は匿名化されているが、個人の住所や、寝室での会話が含まれているそうだ(ITmedia NEWS)。  どの会社も、全ての音声を人が聞いているわけではない。Apple については1%未満、Google については約0.2%という数字が、前述の記事内で出ている。数百回に一度の頻度で音声を他人に聞かれるというわけだ。
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