小中学校で不登校でも勉強を諦めなくていい。高卒資格や大学進学を得るための選択肢

選択肢

Gerd Altmann via Pixabay

話題になった不登校YouTuber小学生

 今年になって、沖縄県在住の小学5年生、通称ゆたぼん君が不登校を宣言し、自身はYoutuberとして生きていくことで多くのメディアが彼の動向を報じました。私を含め、教育に関わる多くの専門家が持論を展開し、ネットニュースなどで拡散され、彼がアップロードした動画は数多くの低評価を受けるなど、賛否の分かれる話となっています。(参照:“小学生がYoutuberとなって不登校宣言。我が子がこう言ったとき、親はどうすべきか?”|HBOL)  彼が学校へ行かないことについては、父親がテレビ等で「本人が行きたくないものを無理強いすることはしたくない」などとコメントしていることや、脳科学者の茂木健一郎氏をはじめとする多くの著名人が「学校へ行くことだけが勉強じゃない」、「動画を作成してYoutubeにアップロードすることも勉強」など、好意的に理解していることで、彼の好きなようにやらせてみればよいという、社会的な理解は得られていると思います。  私としては、このゆたぼん君という小学生については、これだけ知名度が上がり、芸能界でいうところの売れっ子の子役タレントみたいな地位を手に入れたのですから、それなりに他人とのつながりを大切にしていけば、彼が成人して、改めて学ぼうとした時には周りの大人や友人・知人が彼の学びを助けてくれる可能性があります。だから、彼についてはさほど心配していません。

普通の不登校児の選択肢

 ゆたぼん君のように、幸運にもYoutuberという道を選ぶことができた人や、著名な人との関わりが持てた人は、それなりに他人と交流できるだけのスキル、つまり社交性に優れているため、周辺の人を巻き込んで新しいビジネスを始めたりとか、芸能界に進んだりするなど、必ずしも学力や知識を要しない世界で生きていくことができますが、問題は彼のような特殊な環境にいる子どもではなく、学校以外に外界の人とのつながりがない子どもたちです。  日本の義務教育では「年齢相当学年」という考え方があって、小中学校においては、出席日数がゼロであったとしても、自動的に卒業できてしまいます。「原級留置」という留年のような措置もありますが、大半は学校長の判断で卒業に至ります。そしてその中学校卒業の学歴があれば、高等学校へ入学できる資格を得てしまいます。しかし、不登校の生徒の多くは学力が著しく乏しく、出席日数も少ないから、内申書はほぼ無価値です。したがって、普通の高校へ進学するのは困難であることは間違いありません。  学校へ行かずとも、勉強しなくても中学校は卒業できて進学するための資格に支障がないという配慮は、高校進学の段階で学力不足という大きな問題が露呈するのです。そこで、高校入試を突破する自信のない人たちに、あえてその上の、大学への道まで見据えた進学法を検討しておくべきです。
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学力に自信がなくても大丈夫。選べる3つの選択肢
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