預金金利8%のベトナムでセミリタイア生活する人を直撃。彼のスマートな働き方とは?

激安航空券で一路、ベトナムに飛んだ筆者。その直前に出会った賢人の話を紹介する

航空券100円に釣られてベトナムへ……

 最近、赤をベースとしたミニスカートのスチュワーデスが「ハノイ・ホーチミンまで100円!」と広告しているのをご覧になった方は多いのではないか? 筆者も、このキャンペーンでベトナムに実際に行ってみたらどうなるか、試してみることにした。  ただ、一つ問題があった。これまで筆者は何度もタイには行っているのでタイのことはよく知っている。ラオス・マレーシア・シンガポール・フィリピンにも行ったことがある。しかし、まだベトナムはない。  何か目的があったわけではなく、ただ「片道100円」につられただけなので、本当に何も知らない。そんなとき、ネット上で気になるブログを発見した。  「20代・資産1500万円でセミリタイアしベトナムで暮らしています」  早速連絡をとってみると、氏は東京に一時帰国中だった。そこで、ベトナムへ旅立つ直前の土曜日に、話を聞いてみることにした。  ブログの主、宮内健吾(仮名・敬称略)は三十代半ばで、2014年からベトナムでのセミリタイア生活を満喫している。現在は年に三、四か月だけ日本で働き、二十代のときに貯めた一千万円超の預金を金利が8%を超えるベトナムの銀行に預け、その利子と合わせホーチミン市で暮らしているという。

20代で、ベトナムでのセミリタイアを実現した宮内氏(仮名)

「スキルを繁忙期に売る」という働き方

 こういうと、いかにも東京育ちのボンボンが実家でお金を貯めて、という風に聞こえるが、実際のところ宮内は地方出身である。  それにしても、日本で三か月か四か月だけ都合よく雇ってくれる職業というのが期間工以外に何かあるのだろうか。 「ブログでもそうですし、表向きには広告制作関連の仕事と書いていますが、もう少し具体的に言うとチラシの校正ですね。当たり前ですけど、チラシの仕事は夏と年末のセール前に忙しくなるわけですよ。その会社では繁忙期に派遣会社の人を呼んでいたわけですが、これがあんまり戦力にならないんですよ。やる気もないですしね。それだったら、多少は仕事の内容がわかっている私みたいなのが必要な時期だけいればいいじゃないですか」  この社長は頭がいい、と筆者は断言したい。この方法であれば戦力となる宮内には正社員としての待遇を用意する必要がない。数か月間、必要な時だけ給料を払えばいい。  日本の「働き方改革」とは、案外こんなところから始まるのではないか。繁忙期と閑散期がある企業は無駄な経費を削減、宮内は生活費が安い海外で自由な時間を満喫できる。 「派遣社員を雇うと、一時間三千円くらいかかるんですよ。その割には……ということが多いですからね」(宮内)  そして派遣会社に三千円払えばそのうち何割かは派遣会社が差っ引き、労働者にわたる分が減るのは当然だ。そう考えると、このやり方にのる経営者は案外多いのではないか。  宮内は高校時代に新聞配達をして約百万円を貯めていた。 「実は僕、大学には高校からストレートで行っていないんですよ。新聞配達の百万円を元手に、世界旅行をしていました。ブログにも書きましたけど、一番影響を受けたのがトルコで出会ったお兄さんでしたね。まさに今の私のように二十代のうちにお金を貯めて、年に数か月日本で働いては、海外で生活していました。そして日本と海外の価格差を見て、これなら海外で暮らせばいいと気付くようになったわけです。就職は22の時でしたが、大卒資格だけはとっておこうと通信制で学位をとりましたね」
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