橋下徹・元大阪府知事がジャーナリストを名誉毀損で提訴。しかし、法廷で証言の矛盾を追及される

橋下氏は「岩上さんとは、話し合いをしても仕方がない」と主張

 この日の口頭弁論で、最後に証言台に立ったのが橋下氏だった。原告の橋下氏は松隈弁護士(橋下綜合法律事務所)の主尋問で、府知事時代の「行革」「財政再建」などの成果を詳しく語った。  岩上氏側が「事前の通告、謝罪の要求もなく、いきなりの提訴で、橋下氏批判を封じることが目的のスラップ(恫喝)訴訟で、訴権の濫用に当たる」と主張していることについて聞かれ、次のように答えた。 「政治家の時は、批判は仕方がない。しかし、政治家の時と違い、いまは権力のない私人だ。出自に関する報道や人格批判など限度を超えたことを言われると、今の活動にも影響するので、内容証明などで修正、謝罪を申し入れる。  大阪と東京の事務所でスタッフがチェックしている。大手メディアは、根拠のない報道の場合、必ず訂正、謝罪をしてくれる。話しても無駄、無理な人や団体も多い。そういう場合、内容証明、事前の交渉なしに訴える。  岩上さんは、話し合いをしても仕方ないと考えた。提訴の後の岩上さんの記者会見などを見ると、訴訟提起に不満を言っており、内容証明を出しても無駄だったと思っている」

「訪台の方針はどの会議で決まったのか」という問いに、橋下氏「記憶していない」

 中北龍太郎弁護士は橋下氏への反対尋問に立ち、訪台の決定などについて聞いた。 中北弁護士:自殺した参事の名前はいつ知ったか。 橋下氏:最初の報告では、氏名は分からなかった。 中北弁護士:台湾で台湾の経済部長との面談が旅程に入っていたことだけが問題だったのか。 橋下氏:それは大問題ですよ。 中北弁護士:訪台の方針はどの会議で決まったのか。 橋下氏:戦略本部会議なのか部長会議か記憶していない。戦略本部会議だと思っているが、小河・前副知事の証言を今日聞いて、他の会議の可能性もあると今思っている。 中北弁護士:いつの会議か。 橋下氏:訪台する準備に1、2か月かかるので、3か月前ぐらいだろう。さんざん議論している。外務省から出向してもらっている国際交流監にも入ってもらった。台湾のVIPとは接触しない、経済人としっかり交流するという方針を決めた。 中北弁護士:議事録に残っているか。 橋下氏:議事録をすべて残している。外交マターなので、情報非公開にしているかもしれない。会議の記録は1年間に何万枚もあるので全部は見ることができない。議事録には残っている。会議でやっているなら残っている。 中北弁護士:2010年10月14日に参事の自殺に関し記者会見を求められ、「僕の組織運営の在り方に問題があったのかもしれない。遺族の方に申し訳ない」と表明している。 橋下氏:職員が自殺したので、相談対応、上司の動きなどに問題はなかったかなど検討した。最終的には組織の長の責任だ。 中北弁護士:原告は名誉毀損だというが、「直接、俺が罵倒して自殺に追い込んだ、と書いている」という原告の主張は誤りではないか。元ツイートは、橋下氏が、幹部たちに偉そうなことを言ったと書いており、自殺した職員は幹部ではないので、直接叱責した相手は自殺した人ではないのは明らかではないか。 橋下氏:一般読者の読み方では、僕が職員を自殺に追い込んだと受け止められる。 中北弁護士:別の読み方をする人はごく少ない。

「自殺に追い込んだ」とネットで発信する講談社は放置する矛盾

 次に、楠晋一両弁護士は原告を「橋下先生」と呼んで、「講談社の『現代ビジネス』、(2011年10月23日)の記事では、<大阪府幹部職員が爆弾証言「私の同僚は橋下徹府知事に追い込まれて自殺した!」>と書いている。この記事を見たか」と聞いたのに対し、橋下氏は「見ていない」と答えた。 楠弁護士:現代ビジネスの記事では、「11月府知事&市長W選挙に持ち込んだ独裁知事。その維新のウソを側近たちが暴く」と書かれている。この内容は虚偽か。 橋下氏:虚偽だ。 楠弁護士:この記事は今もネットに掲載されているが、橋下先生は講談社に削除要請、裁判をしているか。岩上氏への対応と、講談社への対応はあべこべではないか。 橋下氏:この記事は、匿名職員からの取材ということになっている。取材がそれなりにされていれば、真実相当性があるので仕方がない。岩上氏は取材をしていない」「2011年の政治家の時のことで、時効のこともある。 楠弁護士:この記事は2018年6月に証拠として出している。記事は現在もネットに流れているのに、なぜ放置しているのか。 橋下氏:それなりに取材をしている。問題のツイートは匿名で、取材もしていない。  N氏の自殺については、このほかの単行本や雑誌などでも、橋下知事とかかわりがあると詳しく書いている。ネットでアクセスできる記事も多い。
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「一私人」と主張しつつもSNSで政治に口出す橋下氏
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