小川淳也議員、NHK・上田良一会長と木田幸紀専務理事に3・1報道について問う

再び出た「正確、公平公正、不偏不党、自主自立」

木田専務理事:お答えいたします。えー、野党提出の根本厚生労働大臣の不信任決議案につきましては、先ほどもお答えしましたように、正午、ニュースセブン、それにニュースウオッチ9でそれぞれお伝えしております。  その上で立憲民主党の小川衆院議員が趣旨弁明でインターネットに投稿された川柳を読み上げ、統計不正問題に対する国民の不信感が根強いと訴えるとともに水分補給の際に衆院議長から少し早めて結論を導いてくださいと促されながらもまあ2時間近くにわたって追及を続けたという形でお伝えいたしました。 小川議員:とにかく「水分補給の際に」と今上手におっしゃいましたが、ナレーション違いますからね。「何度も水を飲む姿に」ですから。そういう言い方を変えられること自体、ちょっと適切だったかどうか内部でも議論があるということでしょ、これは。  とにかく賛否両論あっていいんですよ。だけど、野党側の主張の骨子は伝えるべきでしょ。それから議長が何に注意をしたのか正確に事実に即して伝えるべきだ。500万人1000万人の視聴者を惑わした可能性ありますよこの点。大いに反省を求めたい。  その上で、これどういう過程で原稿が作られてるんですか。現場で作られた原稿と最終的に承認された原稿とはどのような相違があるのか。ちょっと資料提出求めます。もしここで答弁できるようならしてください。 木田専務理事:あの多様なご意見があることは承知しておりまして、結果としてこのようなご指摘をいただいたことを真摯に受け止め、引き続き正確、公平公正、不偏不党、自主自立を堅持して報道に当たってまいりたいとまず思います。  なお原稿等々のご質問につきましては、編集権に属することですので、お答えを差し控えたいと思います。 小川議員:まずあの冒頭おっしゃったコメントは私も重く受け止めたいと思います。これ私自身も大変そのわきまえながら質問しなきゃいけないことだということはよく分かってるつもりなんです。しかしこれだけの声がある以上、私も看過できないという心づもりで質問しています。  NHKさんはですね、やっぱりこれ予算を毎年政府与党に握られています。それから先ほども議論になりかかっていましたが、会長人事も事実上握られている。予算と人事を握られているという意味では与党内霞が関と同じなんですよね。  なので申し上げていることがある意味酷かもしれないということも理解しているつもりです。従ってこれは例えばBBCなんかはあれでしょ。10年1回ですよね、政府の審査はね。というちょっと距離を置く制度的なことも考えなきゃいけないかも知れない。それから繰り返しになるんですが、視聴、受信料についても結構やっぱり色々とまぁあくまでインターネット上ですよ。議論が出始めてるんですよね。 「昨日初めてNHKに抗議の電話をした。あまりにも酷くて悔しかったので。果たしてどの程度伝わるものがあるのか不明ですが。最近あまりに偏った報道ばかりで受信料を払うことに疑問があると伝えました」 「いいですねどんどんやりましょう。受信料を払っている者の権利です」 「ひどいな。悪意しか感じない編集」 「受信料を返してほしい」 「皆さん是非 NHK受信料不払い運動を展開しましょう」 というような声も一部とはいえ起きかねない背景はあると思いますよ。そのことを踏まえて、でこれちょっとこの書籍とも関連するんですが、一度衆議院の総務委員会に小池報道局長、ちょっと参考人として招致したいので、委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。 委員長:理事会で協議します。 小川議員:いろいろと、ま、会長、重ねてになりますが、受信料を払っている視聴者の半分は政権支持層、そしてもう半分はこの政権に対して、不満や不安、疑問を持っている不支持層です。約半分。そのことをも改めてご認識いただいた上で、大変出過ぎたことを申し上げた部分はよく自覚した上で、質疑を終えたいと思いますが、今後の特に政治報道、気骨のある、気概のある報道をぜひ求めて質問終わりたいと思いますありがとうございました。 ※※※ 以上、文字起こし終わり ※※※

小川議員の今回の質疑自体には「危うさ」も

 ただ、政治家が報道について論評することは常に慎重であるべきだ。与党による報道に対する介入が疑われるような現状や、不偏不党とは思えないような現状があり、それを問題にしているにしても、である。  それ故、今回の小川議員による質問についても、たとえ慎重ではあったとしても、国会で取り上げたことには少なからず危うさを孕んでいる。今後、小川議員の今回の質疑が「報道への国会議員の介入」だと批判される可能性はある。  小川議員も、自身が国会で「報道」について論評することの危うさをもっと自覚するべきだろう。  ただ、少なくともNHKには公共放送としての姿勢が改めて問われているのもまた事実だ。  今回、木田専務理事は、基本的には質問に答えない姿勢を貫いていたが、終盤「結果としてこのようなご指摘をいただいたことを真摯に受け止め、引き続き正確、公平公正、不偏不党、自主自立を堅持して報道に当たってまいりたいとまず思います」と述べていた。  NHKが良質なドキュメンタリー番組などを数多く報じてきたことは視聴者もよく知っている。ぜひ「正確、公平公正、不偏不党、自主自立」を堅持し続けてほしい。 <文/HBO取材班>
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