並み居る大企業を抑えて、全国2位。 知られざる不動産デベロッパーの成長戦略

HBO取材班
 並み居る大企業を抑え、分譲マンション供給戸数全国2位、それも関西・東海エリアを中心に成し遂げている企業をご存知だろうか? 西日本ではすでに圧倒的な強さを誇っている、その企業とは……?

営業力の強さの裏には最新アプリが

 ‘17年には年間で5000戸以上を供給し、業界2位に浮上したのは、大阪に本社を構える総合デベロッパー・プレサンスコーポレーション。財閥系の名前がひしめく不動産業界で、創業からわずか16年で東証一部上場、今や関西エリアでは圧倒的にシェア1位を実現している。先日発表された’18年の事業主別マンション供給戸数(不動産経済研究所調べ)でも引き続き業界2位のシェアをキープ。こと近畿圏、東海・中京圏では断トツのトップシェアに輝いている。  主要商品はファミリー向けの分譲マンションと、投資型のワンルームタイプ。関東圏ではまだその名は広く知られていないが、ホテル事業にも進出しており、昨年には7棟が完成。現在はアメリカや東南アジアなど海外での開発事業も行っているという。いったいどうしてこれほどまでの急成長が実現できたのか? 取締役副社長の土井 豊氏にその秘訣を聞いてみた。まずは同社の強みである営業力から。 「いろいろありますが、やはり社員、特に営業マンの育成プログラムの体系化ですね。弊社では営業支援ツールのsalesforceを導入しております。アプリを利用することで営業の進捗状況がみんなに見える。それに加え、商品知識のトレーニングプログラムを組み込むことによって、日々の動きや成長度合いを可視化しています」  なんとなく、成果の上がらない営業マン……。従来であれば、精神論でなんとかするところ、問題点を可視化することで論理的な思考ができるようになったという。 「指導する側も解決策を見出しやすいですよね。また、数値化された事実が根拠になっているので、解決策を示される側も納得しやすい。この仕組みによって新卒社員の成長度合いが、今までに比べて格段に伸びています」  ちなみにsalesforceの導入は、若い現場社員の発案がきっかけだったという。「良いアイデアはまず試してみる。それで駄目ならまた変えればいい」という柔軟さやスピード感も好調を下支えする企業風土といえるかもしれない。  こうしたデータの有効活用だけでなく、実際に働く営業マンたちの組み合わせ方もユニークだ。プレサンスでは、新入社員と管理職が、ほぼマンツーマンで営業活動を行なっているそう。 「今までの営業活動であれば、社内研修で1から10のことを教えて、『このとおりやって何か持って帰ってこい』と外に出すわけですね。そうすると、もともと能力が高く、要領のいい人間は結果が出ますが、そうでない人は一向に成長できない。格差が広がり、成果の上がらない人間は負のスパイラルに入って、自信をなくして辞めてしまうわけです」  そこで、少しでも本人がプラスアルファを出せるよう、管理職の人間とタッグを組ませるようにした。 「管理職はすでにその道で成果を上げているわけで、要は10の力を持っている人間なんですね。それとタッグを組ませることで、たとえ1しか能力のない人も、残りの9をバトンタッチすれば、10の力を持てるわけです。1でなくても、0.5でも0.1でもいいから、何かヒントだけ出してくれるだけでも良いというスタンスでチームを組んでもらっています」  しかし、上司の力が強くなりすぎると、旧来の体育会系の営業スタイルになってしまう。そこで前述の営業支援ツールなどを活用することで、結果を出しながら、同時に論理的思考ができる仕組みづくりを整えたのだとか。最新のデータ運用と人と人との結びつき、その両輪がプレサンスの営業力を大きく前進させているというわけだ。

エリアと価格で優位に立つ、地域密着の強み

 また、主要商品であるマンションそのものにおいても、他社にはない強みがある。パソコンやスマートフォンがそうであるように、マンションの質や機能がピークに達した現在、不動産商品として大きな差となるのが立地だ。 「同じ駅であっても、駅から徒歩5分のマンションもあれば徒歩15分にものもあるわけですよね。景色もまったく違う。そういう意味で大事なのは、土地に関しての情報量なわけです。情報によって立地の差が出てくる。そういう意味では、関西圏で一番多くマンションを供給していることで、多くの情報を収集できています。そこで、同じ駅であっても強みのある立地でマンションを建てることができるのかなと」  供給が多いことで、自然と建設業者との取引も増えていく。そうして多くの工事を発注することで、コストを抑えることにも成功しているという。関西・東海エリアに注力することが、エリアと価格、2つの強みに繋がっているのだ。  関東圏への進出も視野には入れているが、潤沢な資金がある大企業とは、そもそも経営方針が異なる。  今は、強みを活かしながら、万博開催などで活気のある関西・大阪でじっくりと力をつけていく時期であると土井氏は強調する。 「独立系のマンションデベロッパーは資金力が限られますので、激戦区の首都圏で、シェアをとっていくというのは、スゴく難しい。むしろ、関西だから成功したという面が大きいです。その延長で東海でも成功できた。順を追ってシェアを広げている段階で、一気に『東京を取りに行くぞ!』というのは、不動産価格が高騰している首都圏の市況を見ても、現実的ではありません」  しっかりと地元エリアに根を張り、無理な拡大を狙わない見切りのよさも特長のひとつであることは間違いない。海外進出などについても、無理をせず、チャンスを窺っていきたいという。 「首都圏への進出で言えば、ワンルームマンション自体が中心部に足りていない状態なので、当社の得意分野であるワンルームタイプで、小さいロットのものをコツコツ数多く仕入れ、実績を重ねていくタイミングかなと思っています。エンドユーザーの方にプレサンスという名前を知ってもらうよりは、まずは、土地を扱っている仲介業者さんに私どもの名前を知っていただけたら嬉しいです。チャンスに向けて、まずは情報を集めていこうと思います」  気がつけば首都圏でもその名を見かける機会はきっと増えるはず。急成長を続けるプレサンス、覚えておいて損はない。 <取材・文/HBO編集部 撮影/難波雄史> 提供:株式会社プレサンスコーポレーション
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