売れる営業の武器、雑談力を左右するのは「笑い」か「ユーモア」か?

 読者のみなさんは、商談の前やプレゼンの前に、アイスブレイクとして5分や10分程度の雑談を行うだろうか? それとも、相手の時間を無駄に使っては悪いと思って「早速ですが、」と、仕事の話をするだろうか?  

売れる営業は「笑い」よりも「ユーモア」

photo via Pexels

 筆者は必ず雑談をするようにしている。それは、これまで出会ってきた優秀な営業の方々は「必ず」雑談をしており、その効果を商談の場で感じているからだ。  実際、心理学的にも、まず営業先の顧客と営業の間でラポール(信頼関係)を構築しなければならない。なぜならば、相手が自分のことを信頼していなければ、こちらが伝えた言葉の意図をそのまま理解してくれず、先入観というフィルターを通して、伝えた言葉の意図が相手の中で変換されてしまうからだ。  相手の心を解きほぐすための商談前のアイスブレイクは、ラポールを築くためにかなり重要であると言える。  しかし、アイスブレイクのための雑談力に関する課題は多くの方が抱えているらしく、雑談力に関する本や雑誌の特集が頻繁に書店に並んでいる。ただ、営業の成績を左右する雑談力というのは、笑える話をすることではない。   たしかに商談前の雑談が「アイスブレイク」と呼ばれていることから、場を温めるために「笑い」を取ろうとする営業マンもいる。しかし、実は商談の成功につながる「アイスブレイク」は爆笑を起こすような「笑い」ではなく、「ユーモア」なのだ。この「ユーモア」を身に着けているかどうかが、営業成績を左右していると、ある研究で判明している。   ビジネスにおける笑いとユーモアを研究している神奈川大学の大島希巳江教授が行った研究を紹介しよう。  大島教授は東京都にある保険会社の営業担当者400人を対象に、営業成績とユーモア度の相関について調査を行った。ユーモア度を図るアンケートは、アメリカのユーモア理論に基づいて10問の質問に回答してもらうことで測定。その結果、ユーモア度が高い人ほど営業成績が高いということがわかった。
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ユーモアの測定で営業力をチェック
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