トルコリラ、最大の懸案事項は「エルドアン・リスク」

 英国でのBrexit(英国のEU離脱)が山場を迎え、欧州通貨が大荒れだった’18年。その一方で、米ドル/円は、変動幅が過去10年間で最低を記録。難解なチャートを前に、思うようなトレードができなかった人も多かったはず。中国経済の影響を強く受けている豪ドル、今年大暴落したトルコリラや新興国通貨も、動向を予想していなければ太刀打ちすることは難しいだろう。  そこで、各通貨の専門家&スゴ腕トレーダーが、’19年の戦略を一から解説。波乱の相場を乗り切る【FXの勝ち方】を、頭にたたき込もう。 トルコ

3月トルコ地方選挙まではリラ買いが有効か!?

 ’18年に荒れに荒れた通貨といえば、英ポンドを真っ先に浮かべる人も多いだろう。だが、多くの人が損失を被った通貨といえば、トルコリラ以外にあるまい。なにせ、日本国内のトルコリラ/円のポジションの99%はロング。1月の高値30円から下げ続け、8月には15円台半ばというほぼ半値にまで値下がりしたのだから、その損失は計り知れない。興味深いのは、下落の引き金をひいたのがトルコの大統領だった点だ。トルコ出身の為替ストラテジスト、エミン・ユルマズ氏が話す。 「国内のインフレ率は16%にも達していたのに、インフレ抑制に効果的な政策金利の引き上げを強硬に否定してきたのがエルドアン大統領。’18年6月の大統領選で再選されたのちには、まったく専門外の娘婿を財務大臣に就任させて、リラの失望売りも誘いました。加えて、対米強硬路線にシフトして、トルコで’16年に起きたクーデター未遂事件に関与したとして米国人牧師を拘束し続けて、米国から経済制裁を受けることに……。この対米関係の悪化が、8月の暴落の直接的な原因でした」  トルコリラ投資家はさぞかし、エルドアン大統領を恨んだに違いない……。だが、その後、米国との関係は改善へ。
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米国との関係が改善し上昇傾向に
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