「中国人へのネガティブイメージを変えたい」西川口の清掃活動を行う麻辣湯店経営者<越境厨師の肖像・第2回>

毎月第一土曜日に微信グループで連絡を取り合って西川口西口駅前周辺の清掃活動を行っている浙江省台州生まれのAyaさんら在日中国人の人々(左から二番目は筆者)

 ここ最近、「本物の中華料理」が味わえるとして、中華料理好きの日本人からも熱視線を送られている西川口だが、そうした取り上げ方をするメディアが出てきたのはごく最近のこと。  それまでは、ネガティブなニュアンスが強く報じられ、「ゴミ出しのルールを守らない」「治安が悪い」などと在日中国人についてのネガティブイメージの象徴のような扱われ方をしてきた。  そんなネガティブイメージを変えるべく、毎月一回、第一土曜日に西川口の清掃活動をしている在日中国人がいる。すでに今月で10回目の開催となったこの活動の発起人が、来日12年になるAyaさん。1982年生まれの中国人だ。

取材に応じても「悪い中国人像」しか報じられなかった

 5年前、来日中国人が増えているにもかかわらず、中国本国で大人気だった麻辣湯を出す店が日本でまだほとんどなかったことに目をつけ、池袋に「四川麻辣烫」をオープンしたところ大成功したAyaさん。池袋店の成功を受けて、西川口にも出店するなど経営は順調だ。さらに中国人のビザに関わるコンサルティングを行う会社も営んでいるというから相当の敏腕経営者である。その上、経営者である傍ら、慶應のビジネススクールで学ぶ大学院生の顔も持つというから凄い。

自身のお店「四川麻辣湯 西川口店」で取材に応じてくれたAyaさん

 多忙を極めるAyaさんは、なぜ西川口の清掃活動を始めたのだろうか?  取材に訪れた筆者と編集者を、できたばかりの麻辣香鍋を振る舞いながら、活動に至った経緯とその思いを語ってくれた。 「一年前くらいでしょうか、西川口に日本のメディアが取材に来るようになったんです。私自身も西川口で麻辣烫(マーラータン)店を営むいち店主として、これは喜ばしい流れであると歓迎の気持ちで取材を受けたんですね。取材ではいろいろなことを聞いてくれました。でも実際放送されたのは、いろいろな話をしたうちほんの一部で触れたマナーやゴミについて、マイナスイメージの部分だけだったんです。  これには怒ったというより、『やはり日本での中国・中国人のイメージは悪い印象がいまだに根付いているのだ』という現実のを突きつけられて、非常に残念な気持ちになりました」
次のページ
私が行動すれば周りの意識も変わる
1
2
3
4

四川麻辣湯
池袋店 東京都豊島区西池袋1-38-2 1F 2F
西川口店 埼玉県川口市西川口1-22-1
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会