薄利多売の構造が生み出す、大量の衣服廃棄処分という現実。消費者も意識を変えよ

 近年、各国で問題になっている膨大な量の服飾ゴミ。大量に廃棄処分されてしまうメカニズム、そして消費者はいったい何を考えて商品を選ぶべきか、ウエアの多くをお直しに出しながら10年は着ているというアウトドアライターのPONCHO氏が分析した。

日本でリサイクルされる衣類ゴミはわずか10%

IMG_6125 現在、製造された衣服の50%は、廃棄処分されていると言われています。少なく見積もっているデータでも、40%前後。ということは演繹的な表現をすれば、私たちが購入して着ている服は、半分ゴミのようなものだと言えるでしょう。  今年7月には、「BBC」が英国の有名ブランド・バーバリーが42億円相当の売れ残り商品を焼却処分したと報じています。  記事によると、バーバリーをはじめとする高級ブランド各社は、盗難や安く売られることへの対策として、売れ残った商品を破壊処分しているそうです。  また、昨年にはファストファッションを代表するH&Mがデンマークで毎年12トンの売れ残り衣類を焼却処分していたというニュースもありました。皮肉なことに、H&Mは店頭で着なくなった衣類を回収するプログラムを実行し、ファストファッション・ブランドでありながら、環境にやさしく、持続可能なファッションを掲げているブランドでもあります。  日本でこういったニュースを見て、「海外の有名ブランドはもったいないことをするなぁ……」と他人事のようには思っていられません。  日本が1年間に排出する衣類ゴミは100万トンと言われています。リサイクル/リユースされるのはそのうち10%程度で、残りの90%は焼却処分されているそうです。この衣類ゴミ、実は購入され、着古された服がゴミとして出されているだけでなく、先に取り上げた海外ブランド同様に、新品の服が廃棄・焼却処分されているといいます。「朝日新聞」の報道によると、その数は「年10億点」にものぼります。
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繊維商社社員からの悲痛な告発
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