12日内閣委員会で山本太郎がぶつけた、極めて真っ当な正論について

「被災者の命より利権、人々の生活よりばくち解禁が必要か?」

※以下、12日の参議院内閣委員会での山本太郎議員の質疑書き起こし。発言中の太字強調及び見出しは本サイト編集部によるものです。 山本太郎議員(以下、山本):自由党共同代表、山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表し、お聞きいたします。  西日本豪雨災害においての被害、深刻です。家屋の二階部分まで水につかった地域、山間部では山が崩れ、大量の土砂が流れ込み、道路を寸断。家屋を押し潰すなどたくさんの被害が出たばかりでなく、現在も行方が分からないという方々もいらっしゃいます。こんなときこそ、国会を動かすのではなく、行政の持てる力の全てを災害対応に注ぐべきですが、何が何でも、ばくち解禁法案、カジノを自民党、公明党は成立させる気で、本日の委員会審議も委員長職権で立てられてしまった。命より利権、人々の生活よりばくち解禁、被災地域よりアデルソンやトランプなどへの貢ぎ物。全くぶれない身勝手な政治姿勢。  このばくち解禁法案の成立が秋の臨時国会に先延ばしになっても被災者は誰も困りません。しかし、今災害対応を全力で行ってもらわなければ、命を失う方がいることはもちろんのこと、生活再建の道筋も中途半端になり、長い目で見ても復興は大幅に遅れます。これは日本全体にとっても大きな打撃です。大災害が起こった際には、国会は一時休戦、行政が災害対応に最大限集中できるよう負荷を掛けない、これが本来の国会の役割ではないでしょうか。  2011年3月11日、東日本大震災が起きた後、国会はどう動いたのか改めて調べました。3月といえば、年度内に通さなければならない予算の審議や決算、ほかの委員会なども動き出す参議院にとって一年のうちで最も忙しい時期です。当時の国会、衆議院では与党民主党が大多数を占めるものの、参議院では過半数を割っているねじれ状態。その日、参議院では、菅直人首相出席の決算委員会審議中でしたが、委員会は中断。15日に予定していた予算案に関する予算委員会の中央公聴会も取りやめになりました。  3月11日、発災夕方には官邸で与野党協議が行われ、菅直人首相は自民党の谷垣総裁を始めとした野党の党首に、救国のために、国を救うために、救国のために協力してほしいと要請。  一方、当時、衆院解散や菅直人首相の退陣を求めて対決姿勢を強めていた野党自民党はどう対応したか。  谷垣総裁は、菅直人首相に電話で政府の対策に全面的に協力すると伝えたほか、脇雅史参院国対委員長は、政府には地震対応を最大限やっていただく、我々はどんな日程調整にも応じる。小坂憲次参院幹事長は、とにかく全面協力する、与党のやりたいようにやってくださいと伝えてあるとコメント。未曽有の大災害を受けて、国会は急速に政治休戦、災害対策モードに。なお、公明党山口那津男代表も、与野党を超えて全力を挙げて事態に当たるべきと、災害対策に協力する方針を示しています。3月16日には、自民党の谷垣総裁の提案で、政府と与野党が震災対策を話し合う各党・政府震災対策合同会議も開催。これ、行く行くは足並みも乱れていくことになるんですけれども、この震災発生直後の時期は、まさに党派を超えて一致団結した行動を取る動き、見られましたよね。  そして、震災後、3月11日から初めて、それ以降国会が開かれたのはいつだったか。震災発生から6日後、3月17日。震災があった後、開いていなかったんですよ。国会審議やっていなかったんですよ。6日間、行政に全部力を集中させたんですよ、マンパワーを。  震災発生から6日後の3月17日、審議されたのは何だったか。被災自治体での4月の統一地方選を延期する臨時特例法案と、地震防災施設等の整備のための国庫補助率のかさ上げ措置を五年間延長する地震防災対策特措法改正案。これらは、3月17日に衆議院で審議され可決、翌18日には参議院でも可決、成立。その後、22日になって、3月22日になって、ようやく衆参各委員会が開いていき、国会審議が再開していくことになると。全勢力を災害対策に注ぐ、被災者のために、被災地のために、この国に生きる人々のために、この国のために、3・11の際には被災地に必要な、災害対応に必要な法案の審議以外は行われていませんでしたよ。  安倍政権の大災害への対応、余りにもおかしくないですか。誰のためのことやっているんだって。丸ばれですよ。3・11のとき、どうしてあんなに一生懸命にみんなで力を合わせたんですか、自民党の皆さん、公明党の皆さん。災害対応第一だといって、協力したじゃないですか。何日も国会開かなかったじゃないですか。開いたとしても、被災地に関係のある審議しかしていないじゃないですか。カジノ、関係あるんですか、被災地に。  災害対応と並行して、ばくち解禁法案、いわゆるカジノですって。現在、この国で厳しい状況に置かれ困り果てている被災者が、避難所の体育館からカジノ法案を何とか成立させてくれとお願いしていますか。仮設住宅からこの先脱出するときを考えたら、バカラで大もうけできるようにしたいので、カジノつくってくださいってお願いされましたか。被災していない人々からも、カジノをつくってくれなんてお願い、皆さん、どれぐらいの数、受けていますか。  さっさと成立させろと言っているの、利害関係者だけでしょう。さっさと成立させろと言っているの、そこからお金もらっている人たちだけでしょう。今日も、利害関係者からお金もらっている人、ここに呼ばれて詰められていましたけど、法に則ってちゃんと処理しているというようなお話で終わらせようとしているかもしれませんけれども、言っていましたよね、ここに呼ばれた西村さんはこうおっしゃっていた。  要は、何と言っていたっけな、ごめんなさいね、ああ、そうや、たとえそういう献金をもらったとしてもという前提で、立法過程に影響与えないと言っているんですよ。立法過程に影響与えないわけないやんって。立法事実何だといったら、関係者に対して便宜図るためのことを立法しているんだろうって。立法過程に影響与えないわけないだろうって話なんですよ。業界団体から金もらっているからとか票もらっているからということでどれだけ政治ゆがめられているんだよということを思い出してみてくださいよ。いつの時代からかと。ずっと前からじゃないですか。どれだけ経団連に寄ったような法律で一般の国民の首絞め続けているか、考えてくださいよ。立法過程に影響与えませんか。そこからスタートして立法されているじゃないですか。  例えば派遣法どうですか、派遣法、中曽根時代に小さく穴を空けて、小泉、竹中で思いっ切り大きくして、安倍政権でまた改悪して、派遣労働者が一生派遣労働者のままになって、そういうことも許されることになったじゃないですか。それでおいしい思いしているの誰だといって、毎回ここで言っているじゃないですか、竹中さんとかおいしい思いできそうですねとか。  じゃ、この間無理やり通したあの法案何でしたっけ。高度プロフェッショナル制度、自由な働き方を多くの方々から求められているようなことを言い続けて、最終的に総理が口にし出したのは何でしたっけ、経済界から、企業側からの要請があった旨のことを言っていませんでしたっけ。ヒアリング、ほとんどしていませんでしたよね。はっきりしているんですよ、立法過程に影響与えるということが。というよりも、それ自体がもう立法事実なんだという話ですよ。誰も求めていないんだって。求めている人たちのためにこれやっているんでしょうって。だから、カネもらっていることばれているんでしょうって。  で、3・11のとき思い出してくださいよ、そんな法案審議したんかって。いつから変わったんですか、自民党。いつから変わったんですか、公明党。元々そう手のひら返すために、その日までずっと温めていたんですか。野党の皆さんからも、本当に今この審議をしている場合じゃないということがさんざん言われて、何とか委員会開催をせずに、6時間張り付けるような、国交大臣を。まあ私も今ここに立ってしゃべっているわけですから、国交大臣をここに縛り付ける理由の一つになってしまっていますけれども、でも、やるって言うんだからしようがない、伝えなきゃ。  さっさと成立させろと言っているの、利害関係者とその利害関係者からカネもらっている議員と、そして、それに対して反対したら党から公認もらえない議員でしょう。それ以外に、今、被災地、その対応しながら並行してこのばくち解禁法案を進めたい人なんて誰かいるんですか。誰がどう考えてもおかしい。災害対応と賭博、ばくちの解禁法案、同時進行の国会なんてあり得ない、そんなことしなかった。
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与野党超えて団結して国家の危機に向かった過去と真逆を行く安倍政権
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