新宿“ダンジョン”の新・案内サイン、「迷子の救世主」となるか? 進化する「案内サイン」

 駅や街なかで道に迷ったときに頼りになるのが、街頭や天井から釣り下げられている「案内サイン」だ。  近年、外国人観光客が増加するなかで各地の案内サインが「進化」を遂げつつある。進化といってもデジタルサイネージやAIを使ったものではなく、あくまでも単純な案内看板の、「アナログ」での進化だ。

「新宿ダンジョン」とも称される新宿駅。近年もバスタ新宿の開業などにより「成長中」のこの駅でも案内サインが変化しつつある

「自己流」案内サインが乱立する「新宿ダンジョン」に変化

「案内サインの進化」を象徴する場所が新宿駅だ。  世界最大、1日延べ300万人を超える人が利用し「新宿ダンジョン」とも呼ばれるこの駅で「一度も迷った経験がない」という人は少ないであろう。数多くの社局の路線が乗り入れている新宿駅周辺の案内サインは、JRや私鉄、駅ビル、地下街などがそれぞれ「自己流」で設置しており「わかりにくい」との声が多く聞かれていた。
各社局が「自己流」で設置した案内サイン

各社局が「自己流」で設置した案内サイン。書式は管理者・設置者によってまちまちで、書式が異なるものが並ぶ場所もあった

手書きの「野良サイン」

流石は「ダンジョン」、こうした手書きの「野良サイン」も少なくない。

 しかし、そうした状況はここ数か月の間で大きく変わりつつある。現在、新宿駅では案内サインの統一を進める工事が各所で進んでいる。その契機となったのは、言うまでもなく東京オリンピック・パラリンピックの開催だ。  オリンピック・パラリンピック開催の決定後、東京都都市整備局は2016年4月に新宿駅を誰もが使いやすい駅にするための「新宿ターミナル基本ルール」を策定。新宿駅周辺にある案内サインについてレイアウトの統一化を図ることを決めた。  なかでも、とくに力を入れたのが「表記の統一性の確保」「表現の一貫性の確保」「歩行者動線に対する適切な配置」「構造に適した共通のサイン体系の構築」の4点だという。果たして、具体的にどう変わったのであろうか。
次のページ
わかりやすさがアップ
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会