「プロレスを売る商店街」商店街主導型プロレス団体・今池プロレスとは

ノリ・ダ・ファンキーシビレサス

音楽・農家・プロレスの三分野で闘う、ノリ・ダ・ファンキーシビレサス (『ローカルプロレスラー図鑑+2016』より)

 日本各地で活動するローカルプロレス団体は、団体といってもその形は様々だ。株式会社や合同会社などの法人、中心選手による個人事業として運営されている団体もある。  今回はそのどれでもない、商店街が運営するプロレス団体「今池プロレス」を紹介しよう。  最初に大会を開催したのは2009年5月。名古屋市の今池商店街連合会の若手有志が中心となり、地域活性化を目的に開催された。日本ローカルプロレスの開祖ともいえるザ・グレート・サスケをゲストに招いた興行は成功を収め、翌2010年からは団体として活動を開始した。  中心選手は「nobodyknows+」のMCとして紅白歌合戦への出場経験をもち、さらに農家としても活動しているノリ・ダ・ファンキーシビレサスや、ふだんは老舗焼き鳥店を営むマグナム今池らだ。  参考記事:『紅白出場、プロレスラー、農家。究極の兼業レスラー、その名もnobodyknows+のノリ!』  スポーツ選手が企業からスポンサードを受けることは珍しいことではないが、今池プロレスの場合はスポンサーに合わせて選手が生み出されているのが特徴だ。  たとえば「ドラゴンズマスク」は中日ファンが集う中華料理店から、「ミソトン・チャンマン」は名古屋のソウルフード・味噌とんちゃんを看板メニューにする居酒屋のスポンサードレスラーだ。各店から受けた資金をもとにコスチュームやマスクを作っているのだ。
ミソ・トン・チャンマン

音楽・農家・プロレスの三分野で闘う、ノリ・ダ・ファンキーシビレサスただの豚でない、飛べる豚ことミソ・トン・チャンマン

 近年人気が高まっているのが「グランパスマスク」だ。その名の通り、名古屋グランパスを意識したコスチュームの選手だが、公認を受けているわけではない“黙認”レスラーだ。  普通に考えればクレームを受けてもおかしくないが、今池商店街連合会がグランパスのサポートタウンであることや、非営利での慰問・奉仕活動を地道に続けていたことが評価され、昨年7月豊田スタジアムでのグランパスファンイベントに公式プログラムとして参加。スタジアム入口前に組まれた特設リングで試合をおこなった。
グランパスマスク

ハードキッカーのグランパスマスク(拙著『ローカルプロレスラー図鑑+2016』より)

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