アンチ違法動画!最前線で戦うAV業界の今

石田恒二
FC2 今年の9月、動画配信サイト「FC2動画」の運営に携わっていると疑われた大阪のインターネット関連会社「ホームページシステム」が、京都府警の家宅捜索を受けた。きっかけは、6月に同サイト内で配信されたわいせつな動画の有料ライブ配信。視聴者の支払いの3割をシステム利用料としてFC2動画が徴収していたため、利益を優先して配信を放置した疑いだ。

 日を追うごとに警察の目が厳しくなるFC2動画に対し、国内で初めて訴訟を起こして法廷で争うAV業界。業界一体となって、違法動画問題に本気で取り組んでいる。

「FC2動画」をめぐる違法動画問題

 FC2動画の運営母体は、FC2,Incという企業だ。本社の所在地はアメリカのネバタ州ラスベガス。今までFC2動画では、多くのユーザーが動画コンテンツなどを違法に投稿してきた。コンテンツの権利を持つ国内の企業やメーカーは、海外に登記する企業のサービスを提訴できない日本の法律が抜け穴となり、提訴ができなかった。FC2動画は、自然と違法動画がはびこる無法地帯と化した。

 しかしこの状況は2012年に変化を見せる。民事訴訟法改正に伴い、「日本で事業を展開しながら支店を有していない場合、国際管轄を認める」との規定が民事訴訟法3条の3第5号として新設されたのだ。これにより、海外企業でも日本向けにサービスを行っていれば、日本国内で提訴できるようになった。そしてこの法改正の施行後、すぐにFC2,Incを提訴したのがAV業界だ。

先陣を切ったAV業界

 11月14、15日には、東京・有明にてファン感謝祭イベント「AV OPEN JAPAN2014(以下、JAE)」が開催された。AV女優の出演者数は総勢100人を超え、2007年に開催された展示会「アダルト・トレジャー・エキスポ」以来、7年ぶりの大型イベントとなった。初日の14日は、平日にもかかわらず朝から盛況。2日間でが来場者数7,000人を記録した。

 違法動画問題にとくに悩まされるAV業界は2013年10月、FC2動画を運営するFC2,Incを訴えた。訴えを起こしたのは、特定非営利活動法人(NPO法人)・知的財産振興協会(IPPA)に所属する日本国内のアダルト映像制作メーカーの7社。35本の動画が無断公開されたことに対して、配信の停止と動画削除、および6,500万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。FC2動画だけでも、概算すると6,400億円以上の損害を受けているともいわれる。6,500万円は、“損害額”のわずか0.01%にも満たない。JAEを主催するIPPAの副理事長、瀬谷慎氏は違法動画問題についてこう語る。

「おそらく(AV業界は)業界別に見て一番被害を受けています。だからこそメーカーの垣根を越えて訴えました。本当は映画や音楽など、業界の枠も超えてやるのが理想ですが、そこまでできていません。FC2は場を提供しているだけだと主張しています。しかし我々が著作権を持っているコンテンツを違法アップロードして、日本語のサービスを展開している以上、徹底的に追いかけます」

 法廷で争うだけではない。協会などではパートの事務局員を雇い、24時間体制でFC2問わず多くのサイトで監視・削除要請を行っているという。「それでも人が足りず、(違法動画が)無くなる気配はありません。こちらが要請して取り下げられても、またすぐにアップされる。完全にイタチごっこですね」

 今もインターネット上で星の数ほど存在する違法コンテンツ。AV業界の訴えが認められれば、他業界も後に続くだろう。さらには他言語展開するサイトを相手取った国際裁判が今後始まる可能性もある。”略奪”を阻止するべく、企業・メーカーの動きは活発になっていくはずだ。 

 12月8日には、ライブ動画配信サービス「FC2ライブ」を通じて、公然わいせつなどの罪に問われていた元ライブチャット配信業の男性に懲役3年(執行猶予4年)の判決が言い渡された。FC2ライブをめぐる公然わいせつほう助の疑いでも「ホームページシステム」には家宅捜索が入っていた。コンテンツ権利者と目先の小遣い銭を稼ごうとする者のいたちごっこは、「場所貸し」業者にまで捜査のメスが及ぶかどうかにかかっている。

<取材・文/石田恒二>

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