韓国のテレビ局が2社合同ストライキを決行! 反抗的な記者の名前を載せた“ブラックリスト”が発端か

 韓国メディア業界が揺れている。  9月4日、韓国のテレビ局KBS(韓国放送公社)とMBC(文化放送)労組が全面的なストライキに踏み切った。  韓国の大きな地上波のテレビ局はKBS、MBC、SBSの3つ。KBSはNHKと同様の公共放送で、MBCは政府が出資して民間で運営するという半官半民の局である。二つのメディアが起こした大きなストライキに業界はもちろん、国民にも衝撃が走っている。  実はこの2大公営放送の同時ストライキは以前2012年にも行われたことがある。当時行われた大規模なストライキは、公正な報道や当時の社長の退陣を求め、170日間にも及んだ。  当時MBCでは李明博・元大統領が任命した社長に交代したことによって、政権に有利な偏向報道が続いている状況であった。「公共性を失ったMBCを取り戻す」のスローガンを掲げた同ストライキは、当然ながら放送にも多大な影響を与えており、人気バラエティやドラマの放送延期などが相次いだ。  これに対し、当時のMBC経営陣はストライキを主導したとしてスタッフ6人を解雇、その他にも計81人に懲戒処分を行うなど、強硬姿勢で対抗。一方のKBSでも、ストライキ参加者に対して同じような強硬策が用いられた。  先月7日、MBCでこの2012年のストライキに積極的に加担し、その後もメディア労組専従者を支援したとして、記者たちの性格や会社への忠誠心などがランク付けされた「ブラックリスト」の存在が暴露された。  ブラックリストに載っている記者は、いわゆる「干された」状態で、取材依頼が制限されたり、報道から程遠い部署へ左遷されたりするなど、不当な扱いを受けていたことがわかった。  MBC労組によると、2012年以降不当解雇や懲戒は71件にも上り、駐車場の管理スタッフなどに左遷された記者やプロデューサーは91人に達するという。  MBC労組の組合員たちは、制作側の自律的かつ公正な取材・放送の侵害とブラックリストの作成に猛抗議。なかでもブラックリスト作成の背景に、MBC現社長であるキム・ジャンギョム氏と放送文化振興会のコ・ヨンジュ理事長の存在があることを指摘し、両者をはじめとする経営陣の退陣を要求。さらに、不当労働行為と放送法違反容疑などで告訴することを予告した。これにMBC放送の記者とプロデューサーが、次々と賛同した上で番組の制作拒否に入り、一部のアナウンサーもそれに加勢した。
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政権と癒着してきたメディアにツケが回ってきた形
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