「また韓流か」とは言わせない!? 韓国の9人組グループ・Twiceが他の量産型アイドルと一味違うワケ

 先月の28日、韓国発の9人組ガールズグループ「Twice(トゥワイス)」が、満を持して日本デビューを果たした。平均年齢は19歳。メンバー9人中、5名が韓国出身、3名が日本出身、1名が台湾出身という多国籍な構成で、既にアジア各国で大きな話題を呼んでいる。  韓国でのデビューは2015年。代表曲である「CHEER UP」と「TT」で韓国の音楽チャートを総なめにし、数々の音楽賞を受賞。今年は、韓国で最も権威のある賞のひとつ「ゴールデンディスクアワード大賞」も受賞した。  デビューから、わずか1年半足らず。彼女たちの活躍は、かつて紅白歌合戦にまで出場し、日本でも大ブームを起こしたK-POPアイドルグループ「少女時代」や「KARA」らを彷彿とさせる。「Twice」は、日本において下火になった、K-POPブームの再燃の起爆剤になり得るのか。

韓国を席巻した残酷な「アイドルオーディション番組」の申し子

「Twice」のデビューのきっかけは、韓国のオーディション番組「SIXTEEN」だ。大手芸能事務所の練習生たちが、夢のアイドルデビューを目指し奮闘する番組なのだが、そのリアルさと、ある種の残酷さが話題となった。  アイドルデビューを目指すのは16名。デビュー出来るのは7名。16名は、「メジャー」7名と「マイナー」9名に振り分けられ、与えられたミッションで対決し、毎回「メジャー」、「マイナー」を入れ替える。仮に「メジャー」に所属していても、次回放送時には「マイナー」降格もあり、要は他人を蹴落として這い上がらなければ、アイドルとしてデビューできない。  ミッションは、ジャケット写真を撮るチーム戦であったり、メジャーメンバーとマイナーメンバーの個人戦(負けたら降格)であったりと様々。ミッションごとに昇格、降格が発表され、最終的にメジャーグループに残った7名に、降格組から最終昇格した2名を加え、今の「Twice」が結成された。  この番組の強みは、スマホを通じて視聴者をうまく審査に取り入れた点だ。  番組を通して見えてきたのは、ドロドロな蹴落とし合いではなく、自身のスキル向上に向けた努力はもちろん、仲間の昇格を共に喜び、降格したら共には涙し、切磋琢磨しあう少女たちの姿。自分の「推しメン」が悩み涙しながら成長していく姿に、視聴者は共感し、彼女たちの熱烈なファンになっていく。  結果的にTwiceとして結成された当時から、圧倒的な人気を博していた。  余談ではあるが、来月から日本でもこの「SIXTEEN」と似たようなアイドルオーディション番組が放送される。手がけるのは、希代のヒットメーカーである秋元康氏で、そのタイトルは「ラストアイドル」。オーディション参加者を2つのチームに分け、デビューが約束されている「7つの椅子」を掛け、1対1のパフォーマンス勝負を行う。まさに「Twice」をデビューさせた「SIXTEEN」と同様のシステムだ。
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