緊張状態の北朝鮮。でも4月上旬には平壌マラソンが開催され、外国人ランナーも増加していた!

金日成主席と金正日総書記の肖像画へ向かって行われた開会式

 米国と北朝鮮の緊張状態が高まりを見せ、世界が例年以上に北朝鮮の動向を注視している。日本のメディアでも「4月危機」や「Xデー」などと煽り気味に報じられている。  そんな状態にわずかに先立つこと4月9日、春の恒例イベントである平壌マラソンが開催され、北朝鮮当局の発表では、外国人1100人、中国国営のCCTVでは1000人強が参加したという。昨年よりも北朝鮮を取り巻く環境は悪化したにもかかわらず外国人参加者は昨年比で増えたことになる。  果たして、今年の平壌マラソンはどのような状況だったのだろう? 現地の様子をリポートしたい。 ⇒【写真】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=138071

外国人参加者増加の一因は中国のマラソンブーム

 今年の平壌マラソンは、前日まで薄曇りで肌寒い日が続いたが、大会当日は快晴となり杏の甘い香りが漂う絶好のマラソン日和に恵まれた。

午前7時過ぎに競技場入りする出場ランナーたち

 外国人1100人の中で日本人参加者は6人(フルマラソン3人、ハーフ3人)と昨年の22人と比べると3分の1以下となったが、一昨年1人、3年前も1人だったので、昨年が尋常ではなかったと言える。  2月13日に発生した金正男氏殺害事件をめぐり北朝鮮は国際的な心象悪化を招き、アメリカは再びテロ支援国家に指定しようとしている。そんな状況であっても多くの外国人が平壌へ集結したのは意外だとしかいいようがない。  大会前にもお伝えしたが、すでに昨年末の時点で北京からの高麗航空の臨時便が満席となり、ホテルも従来の2か所から4か所へ増やすなど、昨年以上の外国人が集まる予想はできた。(参照:「金正男暗殺も平壌マラソンは平常開催。北朝鮮がイベント充実の年間計画を早くも発表した事情」)  予定通り順当に増えているところを見ると、どうやら、金正男氏殺害事件後もキャンセルが少なかったようだ。

スタンドはぎっしり埋まっている

 ただ、今回、外国人が増えた要因の1つとして、中国人参加者の増加も大きい。今、中国では空前のマラソンブームが到来しており、大気汚染がひどい中国を脱出して海外で走りたいという比較的余裕がある市民ランナーが増えているのだ。中国人ランナーが増えた影響だろう、CCTV特派員が平壌から大会をレポートし、中国人ランナーへのインタビューがニュースで流されている。  今大会では昨年と比べどのような変化があったかをまとめてみたい。
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