新入社員を「5月病にさせないため」に、先輩が心がけるべき3つのこと

 組織を円滑に運営するためにはコミュニケーションが不可欠ですが、感情が表に出ることは間違いなくコミュニケーションの阻害要因です。コミュニケーションが取れなければ、経験のない新入社員に十分な指導はできません。特に中小企業の場合は社員同士の関係が密になりがちな一方、相談できる同期は少ないことから、一度、関係構築に失敗すると過度に新入社員を追い詰めることになります。  仕事のできない新人クンを見てカーッと怒りがこみ上げたら、何か言う前に一度深呼吸してみましょう。それが新人クンのみならず、自分も助けることになります。

2.「なぜ」と問わない

 コミュニケーションで言えば、新入社員のような現代の若者と会話するのが苦手だ、という人は多いと思います。しかし、円滑な関係構築のためには、上司の側から話しかける必要があります。個人の性格にもよりますが、普通は新入社員のほうから上司や先輩には話しかけづらいものです。  難しく考える必要はありません。話題は仕事のことだけで十分です。下手に趣味や流行りの音楽のことを話題にしても、それで会話が進むなどということはまずありません。  この際に気をつけるのは「なぜ」という質問はできるだけしないことです。「なぜこうしたんだ?」「なぜこうしなかったんだ?」という問いは相手の取り方次第で心理的に圧迫する言葉になってしまい、その後の意思疎通に悪影響を与える恐れがあります。  しかし、厄介なことに、今ビジネスの現場ではこの「なぜ」という問いを発することが、妙にもてはやされています。トヨタ生産方式における「『なぜ』を5回繰り返す現場改善(なぜなぜ分析)」や、ビジネスマンに人気のある元プロ野球監督の野村克也氏が「なぜ」と考えることの重要性を繰り返し著書で強調していること等から出てきた風潮です。  確かに、ある程度経験を積んだ社員が大した考えも持たずに仕事をしていることは問題でしょう。それを改める意味では「なぜなぜ分析」も有効かもしれませんが、これを経験の乏しい新入社員に当てはめることは危険です。多くの場合、気の利いた返答などできるわけもありませんから、ムダに自信を失わせるだけです。
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「何を」「どのように」を質問の中心に
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