伊藤忠、日本電産、ユーグレナ…「空売りファンド」から「次に狙われる日本企業」はココだ!

大熊将八

レポートの指摘後、追加で減損を認識した「丸紅」

 その裏に意図的な減損隠しがあったのではないか、というのは確かにいかにも「空売りファンド」が考えうるケースだ。実際に丸紅はレポートの指摘後、追加で減損を認識し、格付機関は評価を引き下げた。拙著『東大式 スゴい[決算書の読み方]』でも詳しく解説しているが、減損損失によって、企業が黒字から一気に赤字転落するリスクもある。

photo by 紺色らいおん

 ただ、認識を行っても会計上の利益が押し下げられるだけで、実際に会社が現在保有する現預金を失うわけではない。  一方、日本の空調機器メーカー大手で、時価総額が2兆円にも達するSMCに対しては、同社が海外に保有すると主張する現預金が少なくとも870億円以上は存在しないのではないか、とレポートで示唆された。有価証券報告書ではなく、その前段階の預金残高の証明書類作成の時点で、不正が行われたのではないかという指摘だ。仮に本当であれば、非常に深刻な不正である。SMCは即座にレポートの内容を否定したが、まだ結論は見えていない。  それでは、今後どういった日本企業がターゲットにされるのだろうか?

次に空売りファンドに狙われる企業は…

 筆者は多くの企業についての財務分析を行っているが、その経験に照らし合わせると、正直、マザーズ(新興市場)を中心に、日本にもあからさまに怪しい上場企業はある。しかし、それらの企業は時価総額が数十億円~数百億円程度と小さく、空売りファンドがわざわざ時間をかけて調べてるコストにリターンが見合わないと考えられる。  時価総額が数千億円以上の規模の企業でも利益の水増しや粉飾隠し、賠償などのリスクを過少に見積もっているところは存在するだろうが、新興市場ほどあからさまにアヤしいところは少ない。相当、腰を据えてリサーチする必要があるだろう。  いちばん可能性が高いのは、買収によって積極的な海外展開を行っている企業に関して、計上されたのれんの減損損失の認識を怠ったり、海外子会社に損失を飛ばしているケースを暴かれることだろう。日本の大半の大企業にとっての課題は海外企業の買収であり、ソフトバンクによるARM社の3兆円超えの買収や、武田薬品工業によるがん関連の医薬品会社アリアドの約6000億円の買収など大型の案件が相次いでいる。  ちなみに武田薬品は結局、交渉決裂したものの、2016年11月まで空売りファンドのシトロン・リサーチに架空販売による売上の”架空計上”が指摘されていたカナダの医薬品大手バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルの一部門を約100億ドルで買収しようと試みていた。  2013年に英国の広告会社大手・イージスを買収した電通ものれん代が7000億円を超え、日本第5位の規模となっている。減損兆候がないか、空売りファンドも注視しているに違いない。
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医薬系、原発リスク…他に狙われる企業は?
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東大式 スゴい[決算書の読み方]

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