トランプの移民政策に軟化の兆し? 高技能なら永住可になる可能性浮上

メキシコとの関係改善が目的?

 この様に、トランプ大統領が移民問題について新たな見方をしているのは特にメキシコとの関係改善を図りたいという願いをもっていることからであろう。つい最近も、ティラーソン国務長官とジョン・ケリー国土安全長官がメキシコを訪問してペーニャ・ニエト大統領と関係改善を目的に会談している。  現在、米国には不法移民は1100万人いると推測されている。その半分はメキシコ人である。それ以外に、中米のエル・サルバドール、ホンジュラス、グアテマラの3か国からの不法移民が多く占めている。  では何故、危険を冒してまで米国に不法に入国しようとするのか。その理由はメキシコ人のほぼ半数に近い46.2%が貧困者だからである。その数は5530万人。彼らが生活できる為の働く場所がメキシコにはないのである。一番貧困者の多い州はグアテマラと国境を接する340万人のチアパ州で、州民の76%が貧困者とされている。その次にオアカ、ゲレロ、プエブラ、ミチョアカンの4つの州も人口の過半数が貧困者とされている。貧困者の多くは生活費を稼ぐ為に不法と知っていながら隣国の米国に出稼ぎで向かうのである。そして、米国で働いて得た収入を国に残した家族に仕送りするというのが彼らの生活パターンである。また、中米からの移民者の場合は貧困とさらに暴力が横行しており、それから逃れる為に移民を試みるのである。中米からは多くの子供が一人で移民を試みる場合も多くある。  そして、彼ら不法移民の多くが、米国で俗にいう汚い仕事に携わるのである。ただ、メキシコの場合には国内経済が少しづつ発展していることから米国への移民者はこの10年余り減少している。
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トランプに見られる僅かな変化
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