「サッカーチーム運営」で必要な視点は、一般ビジネスマンにも効果あり! ゲームで学ぶマネジメント視点

 ‘16年11月、日本の大手IT企業「楽天」がスペインの名門サッカークラブ「FCバルセロナ」と、メインスポンサー契約を交わすことが決まった。その背景に、バルサと楽天、そしてカタール航空をめぐる経営戦略上の紆余曲折があったことはすでに本サイトで報じたとおりだ。  そう、一見しただけではわからないが、移籍金だけで数億円ものカネが動くサッカービジネスにはオーナーやクラブ、監督、選手など、さまざまな人や組織の思念が入り組み、そこには高度な経営戦略やマネジメント能力が必要とされるのだ。  そして、こうしたプロサッカーチームのマネジメントを追体験できるのが、スマホアプリゲーム『ウイニングイレブン クラブマネージャー』(iOSのDLはこちら/AndroidのDLはこちら)だ。  では、経営のプロである経営コンサルタントならこの「クラブチーム運営」をどのように行うのだろうか?  今回、リブ・コンサルティングの経営コンサルタント、石井祐季氏に同ゲームを数日間にわたってプレイしてもらった。どのような経営戦略の下でプレイしたのか? そして、その結果やいかに?

リブ・コンサルティングの石井氏

――まず、石井さんはどんなチームにしようと思いましたか? 石井:どんなチームにするか。つまり、戦略上の「理念」を据えるのか、ですね。  例えば、世界中から優秀なスター選手を獲得し、最強“銀河系集団”を作り上げた「レアルマドリード」がある一方で、ユースからの生え抜き選手を大事にする「FCバルセロナ」など、チームごとに異なる理念があります。これは育成方針だけでなく、試合スタイルなどあらゆる局面に言えます。  この「理念」は、サッカーチームの運営だけでなく、一般のビジネスの現場でもさまざまな局面での判断を決定づける要素として重要です。  そのため、私は、実際にスペインまでリーガ・エスパニョーラ観戦に行ったことがあるほどのバルササポーターだということもあり、「じっくり生え抜きから選手を育てる」というバルサに近い方針でプレイしました。

アプリ内では、クラブの「理念」にあわせて、ユース施設を拡充していくことが可能。投資によって、選手の質が向上する

――なるほど。その「理念」に基づいて個別の判断を決めていったんですね。 石井:ゲーム内の試合やトレーニングなどの時間設定がシビアに決められているので、どの選手に、どんなトレーニングをさせるか。その優先順位の立て方に気をつけました。  中長期的なチームづくりを目指すのか、短期で結果を出すのかなど大局を見ながら判断しました。この「スペシャルトレーニング」(特定の選手の能力を大幅に上げられる)ひとつとっても、優秀な選手1人に集中的にするのか、チーム全体で平等に底上げするのか。選手の年齢やパラメーター、さらにはチーム全体のバランスなど、総合的に判断する必要がありましたね。

スペシャルトレーニングのメニューは30以上。限られた時間で選手に何を求めるのか。選択と集中は、まさにプロジェクトマネジメントにつながる

 この辺は、中間管理職に要求される人材マネジメントにも繋がりそうです。 ――ほかにプレイするにあたって、気になった点はありますか? 石井:あと面白かったのが、シーズンごとに収支が出たり、選手によって何年契約で契約金がいくらだったりと、そのあたりの変数が作り込まれているんです。しかも移籍金や、施設の工事費用など、ほかにもいろいろあって、けっこう細かい。  なので、まだ選手が育っていないうちは人や物、お金といった「経営資源」をうまく使って、チームの勝利を目指しました。他チームから選手を引き抜いたり(※編集部注:特定のイベント期間中のみ可能)、トレーニング施設に投資したりと、序盤はそういう投資を多めにしましたね。

継続的に少額投資を続けるか大型の設備投資(スタジアム建設)で、一気に回収を図るか、経営センスが試される部分だ

選手との契約年数は、損益だけでなく、チーム全体の世代交代を考慮する必要がある

各施設には、それぞれ効果がある。優先順位を決めるのは、「経営者」の理念・ビジョンだ

――どこにお金をつぎ込むかも重要なポイントですよね。 石井:このゲームを参考にして、「PL(損益計算書)」を学ぶこともできますね。ゲーム内に選手の体力を回復させるアイテムがありますが、ちゃんと頭を使って使わないと、課金してポイントを購入しなくてはいけなくなる。  事実、よくある話ですが、「忙しい、忙しい」と言っているビジネスパーソンほど、時間の有限性がわからず、ムダな時間を過ごしていることが多い。誰にどのくらい時間を割くのか、もっとも効率的な育成方法は何か。このゲーム(iOSのDLはこちら/AndroidのDLはこちら)が「気づき」になるんじゃないでしょうか?

日々を勝ち抜いていくために欠かせない、チーム員のコンディションやモチベーションのコントロールに対する投資にも、バランス感覚が求められる

――財務感覚については? 石井:昨今は会食などで使える経費ひとつとっても、金額が絞られているため、「本当にこのタイミングで使っていいのか」を冷静に判断する必要があります。言ってしまえば、経費は自分の年収を使っているのと同じこと。その辺の感覚は一般のビジネスでも身につけておいたほうがいいでしょうね。  仮にチームが勝てなかったり、サッカー経営に失敗してしまったりしても、実際のビジネスの現場なら大変ですが、あくまでもゲームなので、臆すことなくプレイできるのもいいですね(笑)。  流行のビジネス本を買っても結局、読まなかったという経験は、誰でも一度や二度したことがあるだろう。ならば、無料アプリ(iOSのDLはこちら/AndroidのDLはこちら)で、プロサッカーチームを運営し、一度、経営戦略のノウハウを実践的に学んでみるのも悪くはなさそうだ。 【石井祐季】 大企業から中小企業まで業務改善コンサルティングを行う、株式会社リブ・コンサルティング勤務。同社コンサルティング事業本部事業部長 <取材・文/HBO取材班 撮影/難波雄史(本誌)> 提供:株式会社コナミデジタルエンタテインメント ©2016 Konami Digital Entertainment All UEFA Champions League names, logos and trophies are the property, registered trademarks and/or copyright of UEFA. All rights reserved. adidas, the 3-Bars logo, the 3-Stripe trade mark and Climacool are registered trade marks of the adidas Group, used with permission. The use of images and names of the football players in this game is under license from FIFPro Commercial Enterprises BV. FIFPro is a registered trademark of FIFPro Commercial Enterprises BV. © 2016, DFB Copyright FFF © Official Licensee of the FIGC The FIGC logo is a registered trade mark of the Federazione Italiana Giuoco Calcio All copyrights and trademarks are KNVB respectively Team Holland property and are used under license. Licensed by OLIVEDESPORTOS (Official Agent of the FPF) Producto Oficial Licenciado RFEF Liga BBVA 15/16 Product under Official License from the LaLiga www.laliga.es © 2002 Ligue de Football Professionnel ® Officially Licensed by Eredivisie C.V. and Stichting CAO voor Contractspelers ™ © 2016 THE ARSENAL FOOTBALL CLUB PLC, ALL RIGHTS RESERVED © S.L.B. Producto Oficial. Official Licensed Product of A.C. Milan Official product manufactured and distributed by KDE under licence granted by A.S. Roma S.p.A and Soccer s.a.s. di Brand Management S.r.l. Official Videogame(s) of CORINTHIANS All other copyrights or trademarks are the property of their respective owners and are used under license.
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