独政府によるドイツ銀行救済への公的資金投入プランをすっぱ抜かれるも公式には否定

依然として苦境にあるドイツ銀行 photo by Carsten Frenzl via flickr(CC BY 2.0)

 ドイツ銀行の経営危機が続いている。メルケル首相は国が救済することを否定し続けている。しかし、9月28日にドイツ誌『ディー・ツァイト(Die Zeit)』が、<米国が科した140億ドル(1兆4000億円)の罰金の支払いが不能となった場合は、ドイツ政府は資金投入として同行の株25%の取得を計画している>と報じた。  この報道に対して、財務省のステフェン・セイバート報道官は早速それを否定している。同誌は、この報道について<入手した政府の下書きを元にしている>と言及している。仮に、これが事実だとすると、現行の株価から判断して最大38億ユーロ(4180億円)を用意することになる。(参照:『El Periodico ECONOMIA』)  メルケル首相は、ギリシャやイタリアでの銀行危機に対して公的資金で救済することについて常に反対して来た。そのように反対して来た手前、自国の最大銀行ドイツ銀行への救済に公的資金を使っての支援をするとなると矛盾した行為となり、また納税者であるドイツ国民をも裏切ることになる。  しかも、公的資金による救済を実行すると、来年の夏に予定されている連邦総選挙に向けて現在票を伸ばしている政党「ドイツの為の選択肢(AfD)」をさらに有利な状況に導くことになる。同様に、今年から銀行救済には公的資金を投入することを否定したEU委員会もドイツ政府の公的救済には反対の意向を示すものと思われる。
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窮地に立たされるドイツ銀とメルケル首相
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