熊本県・大分県を襲った大地震――そのとき大型店は【熊本地震現地リポート】

鶴屋百貨店。奥は本館、手前は東館(熊本市中央区)

 熊本地震から約1週間が経過した4月23日朝、熊本市中心部に1つの行列が出来ていた。  行列の先にあるのは、ひときわ目を惹く巨大なビル。  熊本県唯一にして九州最大の売場面積を誇る百貨店「鶴屋百貨店」が、ようやく一部で営業を再開することになったのだ。

「デパートの復興は『マチ』の復興」

 鶴屋百貨店は1951年に創業した老舗百貨店。熊本県で唯一の大型百貨店であり、その建物は5館体制で、総売場面積は6万㎡超。キャッチフレーズは「こだわりと上質なくらしを提案する郷土のデパート」で、「鶴屋のCMソングを歌えない熊本県民はいない」と言われているほど、県民に親しまれている百貨店である。  熊本市中心部の顔ともいうべきデパートの一部営業再開は、多くの市民にとって「マチの復興」を実感できる嬉しいニュースであった。4月23日に営業を再開したのは、グッチ、フェラガモなどのラグジュアリーブランドからくまモンスクエア、東急ハンズ、書店などが出店する「鶴屋東館・テトリア」、GAPなどが出店する「鶴屋ウイング館」を中心とした一部のみであり、本館にあった食品売場などは仮設売場での営業を余儀なくされたものの、朝から多くの市民が詰めかけ「熊本市中心部の顔」の復活を祝った。  鶴屋百貨店では、23日の開店前にも余震に備えた避難訓練を実施。万全の防災体制での営業再開となった。  鶴屋百貨店が営業再開をした翌日には、隣接する大型ファッションビル「熊本パルコ」も営業を再開。鶴屋やパルコが立地する商店街「下通」でも営業を再開する店舗が増え始め、余震が続くなか、街は徐々に活気を取り戻していった。  ある客は「鶴屋の開店は『マチ』(熊本市中心部)全体の復活に繋がるですけんね」と顔をほころばせたが、その視線の先には鶴屋の目と鼻の先にある、大きく損傷した熊本城の姿があった。
次のページ
「買い物する店がない!」
1
2
3
4
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会