障がい者の力をかりた「農福連携」で、耕作放棄地を再生

障がい者だけでなく、高齢者や就労困難者の働ける場所に

福祉施設の関係者、農家、行政の福祉担当者らが、農福連携について語り合った第1回全国フォーラムのパネルトーク

 全国の障がい者施設での平均工賃は月額1万4000円ほど。これに障がい年金の6万5000円を加えても、生活保護費にも届かない厳しい状況だ。だが、自然栽培パーティの佐伯康人代表が運営する愛媛県松山市の障がい者支援施設では、2006年に就労支援をはじめて今では10町歩の耕作放棄地を農地に復活させ、平均工賃5万5000円を実現しているという。その活動は福祉関係者の注目を集め、佐伯代表は全国各地を飛び回って栽培法の普及を図っている。 「(障がい者の)仕事は限られていて、一人ひとりに合った作業をかならずしも見出せていない。だが農業なら『百姓』と言われるぐらいだから、さまざまな仕事を生み出せる。障がい者だけでなく、高齢者や就労困難者の働く場も生み出せる。さらに無農薬・無肥料だから、食べるだけでなく耕作も安心・安全。(福祉の側も)“困って”ばかりいないで、世の中を楽しくしていきたい」  佐伯代表はこう話し、さらに力説する。 「農業はすそ野の広い産業。障がい者施設だけでも500か所、それ以外に生きづらい人を支援する組織や企業も含めて、1000か所の参加を見込んでいます。栽培だけでなく、農産物の二次加工や販売などさまざまな仕事も生み出せる」
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その先にあるのは地域の活性化
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希望のイチゴ

難題に挑む農家・野中慎吾の、試行錯誤の日々を描く

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