組織や業界のルールを変えようとして周囲は大反対。どうすればいい?

【石原壮一郎の名言に訊け】~白瀬矗の巻

Q:詳しくは話せないんですけど、ネットを使ったまったく新しい流通の仕組みを作りました。おかげさまで、多くのユーザーに喜んでもらっていて、会社としては前途洋々です。業界の仕組みはもちろん、世の中の仕組みも大きく変わりそうです。ただ、既存の業者を中心に周囲からの風当たりが半端ではありません。私の人格を否定するような悪口も、あちこちから聞こえてきます。自分がやっていることに間違いはないと思っているのですが、そういう逆風にどう立ち向かえばいいのでしょうか。(千葉県・30歳・IT)

写真はイメージです。A:たいへんそうですね。新しいことを始めると、必ずいろいろ言われますよね。でも、会社は順調とのことで何よりです。今日の喫茶「いしはら」には、商店街の風雲児の名をほしいままにしてきた太郎さんが来てらっしゃいます。いまは息子さんにお店を譲って、悠々自適の毎日です。太郎さん、いかがでしょう。

 俺が商店街の名前を変えようって言ったときも、ちくわぶを名物にしようって言ったときも、さんざん反対されたもんだ。今じゃすっかり定着して、テレビにもよく取り上げられるし、遠くからも若い人がたくさん来てくれているけどな。反対してたやつに限って、うまくいってから「俺は最初から力を貸してた」みたいなこと言うんだよ。ま、いいけどな。

 こういう若いヤツ、好きだなあ。どんどん突き進んでくれよ。逆風なんて気にしてる場合じゃねえよ。お前さんは、ただの金儲けじゃなくて、世のため人のためだと思ってやってんだろ。すごいことやってそうなわりには、周囲の声なんてどうでもいい雑音をけっこう気にするんだな。ま、それが人間ってものかもしれないけど。

 日本人で初めて南極に行った白瀬矗(しらせのぶ)さんって知ってるか。イギリスのスコットの向こうを張って、予算も乏しい中、無謀にも木造帆船で南極に向かって、見事に上陸を成功させたんだ。そりゃもう、いろんな意味で逆風の嵐よ。その白瀬さんが、こう言ってる。

何とでも言え、世間の毀誉褒貶(きよほうへん)というものは、雲か霧のようなものだ。山が泰然としていれば、雲や霧が動いたとて、何ほどのことがあろう。やがて晴れるときが来るに違いない

 どうだい、カッコイイじゃねえか。反対の声や悪口にグラグラするのは、お前さんという山が、まだどっしり構えていないからかもしれねえな。もう始めちまったんだ。フリでもいいからどっしりしてねえと、吹き飛ばされたり雲や霧がいつまでもまとわりついて来たりしちまうぜ。こっちがどっしりしてれば、雲や霧なんてそのうち消えていくもんさ。

 苦しいことも多いだろうけど、がんばってくれや。激励の意味を込めて、白瀬さんの別の言葉をプレゼントするよ。「艱難(かんなん)は汝を玉にする。困苦は忍耐の試金石なり。人生困苦の味を知らぬ人はまことに幸福である。そして、不幸である」ってね。苦しみを味わうってことは、幸せなことなんだ。まあ、俺のはたいした艱難じゃなかったから、玉にはなれなかったけどな。でも、飼い猫の名前はタマなんだぜ。ま、たまたまだけどな。

【今回の大人メソッド】

逆風は立ち向かうものではなく受け流すもの


 逆風にせよ悪口にせよ、何となくそのまま受け止めていると大きなダメージを受けます。しかし、意識的に「気にしない」というスタンスを取れば、じつはどうってことありません。立ち向かったところで疲れるだけだし不毛です。受け流しても何の支障もないし、何ならヨットの上級者のように、逆風を上手に利用しながら前に進んでしまいましょう。

【相談募集中!】ツイッターで石原壮一郎さんのアカウント(@otonaryoku )に、簡単な相談内容を書いて呼びかけてください。

いしはら・そういちろう/フリーライター、コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』(扶桑社)でデビュー。以来、さまざまなメディアで活躍し、日本の大人シーンを牽引している。『大人力検定』(文春文庫PLUS)、『大人の当たり前メソッド』(成美文庫)など著書多数。近年は地元の名物である伊勢うどんを精力的に応援。2013年には「伊勢うどん大使」に就任し、世界初の伊勢うどん本『食べるパワースポット[伊勢うどん]全国制覇への道』(扶桑社)も上梓。最新刊は、定番の悩みにさまざまな賢人が答える画期的な一冊『日本人の人生相談』(ワニブックス)


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