戦闘機独自開発という名のコピーが横行。中国とロシアの兵器を巡る微妙な関係

中国がコピーする理由

 当初、中国側が提示したSu-35の購入機数は4機のみで、これは戦闘機が戦力として使える数ではなく、明らかにコピーを目的としたものであった。そこでロシア側は、商業的に成立する数として48機の購入を求め、さらにはリバースエンジニアリングに関する禁止事項を盛り込んだのだ。  結局、購入機数は24機に落ち着き、中国側がリバースエンジニアリングを試みた場合は、巨額の違約金が支払われる契約が結ばれたという。  中国といえば、戦闘機に限らず海賊版が横行して、コピー商品がたびたび問題となっている。それらコピー商品が作られる一番の理由は、経済的な理由だ。しかし、今回紹介している戦闘機の場合は、少々事情が違う。中国が戦闘機のコピーを行う一番の理由は、安全保障面から、兵器の国産化を進めることにあるのだ。  中国が最初にロシアから輸入したSu-27SKはロシア空軍の同型機と比べると、一部の機器の性能がダウングレードされたものであった。その後にライセンス生産されたJ-11も、レーダーやエンジンといった基幹部分の国内生産は許されず、ロシアからの完成品の輸入に頼っていた。また、性能面でも中国が今後の領土問題等で必要とされる対地攻撃能力が限定的で、機体の性能も満足のいくものではなかった。  戦闘機は非常に高度で複雑な物で、長期で運用するにはメンテナンス面でメーカーの支援が不可欠である。それらが国外の企業であった場合、時間的にもコスト的にも大きな問題となる。  海外製の兵器を運用する場合、このメンテナンス問題は日本を含めた各国でたびたび発生しており、その一番の対策は国内ですべてが完結する兵器の国産化なのだ。  本来ならば、ライセンス生産等で得た技術をベースに、独自の機体を生産するところだが、中国はそれをライセンス生産していたフランカーをベースにして進めていったのだ。こうして作られたのが性能向上したJ-11Bや艦載型のJ-15といった機体だったのである。
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ロシアにとってのメリット
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