ふるさと納税のメリットを一番感じられるのは「米」

自治体に寄付をすれば、お礼に地元の名産品などが実質2000円でもらえることから、ブームとなっているふるさと納税。2015年4月1日より制度改正がなされ、お得度は倍増。ますます魅力的な制度になっている。そんなふるさと納税を余すことなく活用するテクニックを、達人の金森重樹氏に聞いた!

今や1万円で20㎏の米という高還元率も当たり前

「ふるさと納税のメリットを一番感じられるのが米。主食の米は必ず消費するので、押さえておきたい特典です」  と金森氏が言うように、お米を返礼品として用意している自治体は多い。しかもここ数年で自治体間の競争が激しくなった結果、米をたくさん贈ってくれる自治体が急速に増えているのも魅力だ。 「数年前までは、1万円で20㎏ものお米を送ってくれる自治体は、長野県阿南町くらいでした。それが今や、岡山県吉備中央町をはじめ、山形県南陽市や茨城県坂東市なども高還元率でお米を用意している。さらに3万円で60㎏という自治体も、福島県湯川村などを初め、珍しくありません」(金森氏)
茨城県坂東市

茨城県坂東市では、地元でとれたコシヒカリを1万円で20㎏送ってくれる。早い者勝ちだ

 だが、60㎏といえば米俵2つ分だ。そんな大量のお米が一度に送られてきたら、一般的な家庭では困ってしまうだろう。 「その点は、心配しなくても大丈夫です。たいていの自治体では、10㎏または20㎏単位で小分けにして送ってもらうこともできる。いつも精米したてのお米が食べられますよ」  お米を提供しているさまざまな自治体に寄付してきた金森氏。奥さんのお気に入りは、高知県・奈半利町のお米だという。
米

食卓に欠かせない米をベースに、何をもらうか決めていこう

「私はグルメではないので、お米は質よりも量で選ぶ傾向があります。一方でうちの奥さんは米の味にうるさいんです。以前に返礼品として贈られてきた奈半利町の米は、相当美味しかったようで、来年も取り寄せてほしいとオーダーされています」  そんなふうに、さまざまな自治体に寄付して、お気に入りの米を探し、ふるさと納税を楽しむのもよいだろう。  だが、還元率の高い自治体では、そんなに気前よく米を贈って採算がとれているんだろうか? 逆にこちらが心配になる。 「例えば長野県阿南町に関しては、結論から言えば儲からなくてもかまわないようです。町としては、ふるさと納税によって利益を出そうとしているのではないらしい。それよりも、集まった寄付金で地元の米を買い取り、町内の農家を支援できればいいと考えているんです。また、農家としても農協の買い取り価格よりも実際の消費者価格で買い取ってくれる町に渡したほうが、実入りが多い」 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=50712 ふるさと納税 前出の阿南町では寄付相当額の町内産の米を贈る取り組みをいち早く始めたことで、ふるさと納税では有名な自治体となった。そのため寄付金が全国から多く集まり、毎年、返礼品としてのお米が春頃には足りなくなってしまうほど。  こうした人気に後押しされ、これまで耕作放棄地となっていた水田でも、米作を再開する土地が相次いだというから驚きだ。この阿南町のように、ふるさと納税によって、農業だけでなく町全体に活気が戻っている自治体も増えている。  もちろん高い還元率の米は魅力だが、ふるさと納税をすることで、地方を活性化させる一助となっている。そんな風に考えると、積極的に“納税”したくなるし、食べるときによりご飯が美味しく感じられるはずだ。 【金森重樹】 2014年は年間200件以上のふるさと納税をした達人。その体験を1冊にまとめた『2015年改訂版 100%得をするふるさと納税生活完全ガイド』が好評発売中 ― 達人・金森重樹監修[ふるさと納税]最新ガイド ―
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