菅政権による日本学術会議への人事介入は近代社会の破壊行為。著述家が官邸前で単身抗議のハンストを始めたワケ

応援はいらない。「お前も戦え」

 そうして声を上げるに至った菅野氏だが、依然としてネットには彼を揶揄するような声が少なくない。それは、属人的な判断しかできないリベラル陣営からさえも聞こえてくる。   「Facebookでも『言論人なら言論で対抗すべきだ』としたり顔でコメントしてくる輩がいましたが、『ちったぁ頭使って考えろ』と申し上げたい。  自分の行為が、中国共産党政府の弾圧となんら変わらないことに気づけない愚物であり、教養と知性の欠如した程度の低いテロリスト紛いのおっさんに届くような言葉で原稿を書きたいとも思わない。テロ行為に対抗するのに、通常の言語で対抗するわけにいかないでしょう。相手が肉体言語でくるなら、こちらも肉体言語で対応するしかありません。肉体言語を用いるしかないというものの、肉体言語の一環である暴力の矛先が、他者に向かうことは慎まなければいけません。なので、肉体言語の矛先を自分自身に向けるハンガーストライキを採用したのです」  菅野氏は、菅政権は次の国会が始まる頃にはどうせみんな忘れるはずと思っているだろうと推測する。本サイトも同じ見方だ。「日本学術会議の人事介入」は切迫した弾圧事件であり国家の根幹を破壊する野蛮な行為だが、一般的な市民にはその危険性を切実に感じることは難しい。まさしくニーメラーの言葉通り、大半の市民は「自分に関係ない話」としてしまうだろう。菅政権はそこを巧妙に突いている。国会の開会が予定されているのは10月28日。まだ3週間も先だ。そのカレンダーを眺めつつ、菅政権は「どうせそこまで、学者たちの怒りは持続するまい」とタカを括っているはずだ。菅政権の狡猾さを感じずにはいられない。  菅野氏は最後にこう語った。 「言論人や学者がちゃんと戦い始めるまで座り込み続けるつもりです。あ、あと『応援します』とか、いりません。応援する暇あったら、お前が戦え」 <取材・文・撮影/HBO編集部>
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