野党合同ヒアリングでの官僚の不誠実な対応に街行く人も呆然<国会PV緊急街頭上映>

合同ヒアリングでも繰り広げられる官僚の不誠実な回答

石垣議員と上西教授

石垣議員と上西教授

   国会PVの上映が終わると、第二部は立憲民主党の石垣のりこ議員がゲストスピーカーとして登場。  ここでも、再び官僚のふざけた答弁の実態が明らかにされることになる。  石垣議員が解説をするのは、野党合同ヒアリングについてだ。野党合同ヒアリングは、野党各党各会派が協力し、特定の課題・問題を追及する取り組みだ。今回の件に関しては、野党が一丸となって「総理主催桜を見る会追及本部」というのを立ち上げて、その内部で「ホテルについて調査するチーム」や「安倍総理のお膝元の山口県に行って現地調査をしてくるチーム」「名簿の情報を集められるようにするチーム」など8つのグループに分かれてテーマごとにそれぞれの担当議員が調査を進めるということをしているのだという。  紹介されたのは第8回と第11回の合同ヒアリングの様子だ。  衝撃的なのは第11回のこのやり取りだろう。  石垣議員が、8週間でデータを廃棄するのであればそのような仕様で発注されているはずなのだから、それが明記されている仕様書・契約書を出してほしいと言っても準備がなかなか整わないとか運用上のルールなどとよくわからない言葉で逃げ続ける内閣府に、それならばRFP(提案依頼書)を出してくれと内閣府の酒田元洋官房総務課長に尋ねたところだ。RFPはすでに企業側に提示しているものであり公開情報であるはずなのだが……。  その問いかけに内閣府の酒田元洋官房総務課長は以下のような回答を繰り返すのみだったのだ。 石垣議員:「提案依頼書を出して下さい」 酒田課長:「持ち帰らせていただきます」 石垣議員:「ご提出下さい」 酒田:「持ち帰らせていただきます」(以下繰り返し)

「承知しました」の内閣府酒田課長流珍定義

 このやり取りを見た上西教授は、「『持ち帰らせてください』というのは、『出せません』ということですよね』と一言。石垣議員も「持ち帰らせてくださいと言われてなにか戻ってきた試しはない」と一刀両断した。  さらに上西教授は、「もう一つありましたよね、『わかりました』と言ったけれど、『わかりました』ってのは何を依頼したのかわかりましたということで、『承知しました』という意味ではないとか言ったり……」  これは11月29日の第8回野党ヒアリングでのことだ。招待状に記載される番号の「60」という数字について、これが意味するのは総理の招待枠なのではないかという問題について国民民主党の今井雅人議員が質問していたところだ。  内閣府職員への質問の中で、招待区分の詳細を知る職員がいると内閣府サイドが認めた。すると、今井雅人議員はその場で「その方に、(招待番号の)60から63の違いを確認してもらえませんか?」と要求した。それを受けて内閣府の酒田元洋官房総務課長は「承知しました」とはっきりと言っている。  しかし、驚いたのはその4日後、第10回ヒアリングの席のことだ。  前々回の「宿題」として60の招待区分についてそれを知る担当者がいるので、確認してきてくれという話だった件がどうなったかを問われたときに、内閣府の酒田元洋官房総務課長は「当時の担当者が特定できるということは申し上げたが、確認をするというところまで確約したかというと記憶にございません」とニヤけながら答えたのだ。  そしてさらに続けて、「わかりましたというのは、そういうご趣旨は理解しましたが、必ず確認をしてくると承諾したわけではありません」と言い放ったのである。  ちなみに、内閣府はこの通りだったが、石垣議員によれば他の省庁で一人だけ例外もいたという。それは外務省だ。山口隆祥元会長と面識がないと答えた安倍総理の答弁を覆す資料で、安倍総理が過去に父親の故安倍晋太郎元外務大臣が山口元会長と面会したときに同行していたことを表す紙の文書について、それを出してくださいと言われた外務省は即座に出してきたのだという。  このように不誠実な「日本のアイヒマン」たちとのやり取りを見て、国会PVを観に集まった人、街角でたまたま目にした人も、その酷さに改めて驚きの声をあげていた。  野党議員の質問だからといって、国会の総意としての質問なわけで、これは野党の質問ではなく、「国政調査権の発動」にほかならない。それをまともに答えようとしないのは、服務規律違反ですらある。  官僚は全体の奉仕者として、国民の総意に基づくヒアリングに真摯に回答する義務があるのは間違いない。どんどんボロが出てきて、繕えなくなっている現状。「年を越えれば国民は忘れる」と高をくくっているのかもしれないが、積み重なった横暴と不条理で国民の反感も鬱積している。今までのように、「安倍に尽くせば出世する」などと思わないことだ。 <文/HBO編集部>    
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