パソコンのディスプレイケーブル、種類が多すぎる問題

いろんな形状のポート

写真はイメージです shutterstock

トリプルディスプレイ用にPCを購入も、全て違うコネクタ形状で困惑

 7月の頭に、母艦として使用しているデスクトップパソコンが壊れた。古いパソコンのOSは Windows 8.1。そのマシンでは、3枚のディスプレイにケーブルを繋ぎ、トリプルディスプレイにして作業をしていた。グラフィックボードからは2枚のディスプレイに映像を出力し、別途USB接続で1枚のディスプレイに映像を送ってのトリプルディスプレイだった。  Windows 10 マシンへの買い換えに伴い、グラフィックボードからの出力だけでトリプルディスプレイにしたいと思った。ただ、ダブルからトリプルにディスプレイ数を増やすと、途端にコストパフォーマンスが悪くなって困った。けっこうお高くなるのである。  世の中的には、1枚のディスプレイが標準で、サブ的な用途でもう1枚出力する使い方が多いようだ。最初からディスプレイを3枚繋ぐのは異端のようである。  最終的に、3枚のディスプレイに出力可能なグラフィックボードを積んだのだが、少々困ったことが発生した。パソコン背面に付いている接続口が3つあったのだが、そのどれもが違う形状なのだ。  購入したパソコンのグラフィックボードは、3種類の接続方法に対応しており、全て繋いでも性能的に出力可能ということらしい。  性能をフルに発揮するには、3種類の方法でディスプレイに接続しないといけない。しかし、ディスプレイの方は全て HDMI なので、そのままでは1枚しか繋ぐことができない。  変換コネクタが必要なのか……。半ば途方にくれながら、最近のディスプレイ事情について調べることになった。

D-Sub 15pin、DVI、HDMI、Display Port 各種類の特徴

 パソコンのディスプレイケーブルは、大きく分けるとアナログのものとデジタルのものがある(参照:ELECOM WEB SITE)。アナログのものは、ここ10年ぐらいは見かけていない。20年ぐらい前のパソコンは、全てアナログだったように記憶している。 ◆ D-Sub 15pin  まずは、アナログのディスプレイケーブルについて説明しよう。  VGA端子(Video Graphics Array connector)アナログRGB端子などと呼ばれるもので、「D-Sub 15pin」コネクタや、「ミニ D-Sub 15pin」コネクタなどがこの範疇に入る(参照:サンワサプライ株式会社)。映像のみを伝送するケーブルで、音声は別のケーブルが必要になる。 ◆ DVI
dviコネクタ

Andreas Lischka via Pixabay

 もう一方のデジタルのものは、大別すると3種類の方式があり、時代とともに新しいものが登場している。これらは液晶ディスプレイが主流になって以降の方式と言える。  最も古いものは「DVI」(Digital Visual Interface)と呼ばれるものだ。「D-Sub 15pin」同様、映像のみを伝送する。  DVI は、1999年に DDWG(Digital Display Working Group)が規格化した(参照:IT用語辞典 e-Words)。デジタル伝送をおこなう DVI-D、VGA互換の DVI-A、デジタル/アナログ兼用の DVI-I の3種類があり、それぞれコネクタの形状が違う。よく見るのは、DVI-D、DVI-Iの2種類だろう。  また、対応解像度の違いにより、シングルリンクとデュアルリンクの2種類がある。シングルリンクは、1920×1200ピクセル以下(垂直同期周波数によって対応解像度は多少の増減あり)、デュアルリンクはそれ以上の解像度に対応している。ただ、4K解像度には対応しておらず、デジタル向けの規格とはいえ、古い印象は免れない。 ◆ HDMI
hdmi

WikimediaImages via Pixabay

 次に古いものは「HDMI」(Higi-Definition Multimedia Interface)になる。こちらは、映像、音声、制御の信号を伝送可能だ。DVI を発展させた仕様で、信号伝送方式が同じなど共通点が多い。コネクタの種類はAからEの5種類あるが、パソコンのディスプレイで使われるのはタイプAになる。タイプAのコネクタは、横に引き延ばした凸のような形状をしている。  2002年に HDMI 1.0 が発表され、数年ごとにマイナーバージョンアップしていき、2013年には4K解像度に対応した HDMI 2.0 が発表された。ゲーム機など多くの家電で採用されており、ここ10年ぐらいはスタンダードな方式となっていた。 ◆ Display Port
Displayport

shutterstock

 最後は、ここ数年普及している「Display Port」だ。2006年に最初の 1.0 が発表されたこの規格は、過去の DVI や HDMI の不満を解消するために作られた。小型化、低コスト化、高速化などが図られており意欲的な規格になっている。  ライセンス料が必要だった HDMI に対して、Display Port は無料になっている。また、複数のディスプレイを数珠繋ぎ(デイジーチェーン)にできるため、複数ディスプレイ環境を構築しやすい。  さらに、複数ディスプレイ環境で映像データを一気に送ることを想定しているために、高解像度の映像データに耐えられる仕様になっている。端子も小さく、省スペースで機器にディスプレイポートを組み込むことができる。また、コネクタ形状は、長方形の一画を斜めに削ぎ落としたような形状になっている。  最近のパソコンでは、ディスプレイへの出力に、この Display Port を採用しているものが増えている。
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そしてどんどん増えていく変換コネクタ
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