米利上げは近づいた? ジャクソンホール会合から9月を「読む」

時期には言及しないものの強気に出たイエレン議長(photo PublicDomain)

 米国ワイオミング州ジャクソンホールは、全米でも有数の観光地である。イエローストーン国立公園やグランドティトン国立公園が有名で、ジャクソンホールはスキーリゾートとしても知られている。毎年カンザスシティー連邦準備銀行が年次経済シンポジウムを開催する場所としても知られており、世界各国から中央銀行総裁・政治家・学者・評論家らが参加する。今年のジャクソンホール会合は、FRBが年内に利上げを踏み切るかどうかを探るため、イエレンFRB議長の講演に注目が集まった。  8月26日、イエレンFRB議長は、ワイオミング州ジャクソンホールでのカンザスシティー連銀による年次経済シンポジウムで「米雇用が改善し、追加利上げの条件は整ってきた」と述べた。(参照:FRB) “Indeed, in light of the continued solid performance of the labor market and our outlook for economic activity and inflation, I believe the case for an increase in the federal funds rate has strengthened in recent months.”(確かに、労働市場の継続的な堅調なパフォーマンスおよび経済活動やインフレの見通しに照らして、私はフェデラル・ファンド・レートの利上げの論拠がここ数か月の間に高まったと確信する。)  イエレンFRB議長は、講演の中で、昨年12月に続く利上げの時期に言及しなかったが、早くて、9月の次回会合FOMCで利上げする可能性が出てきた。

フィッシャーFRB副議長も9月利上げを示唆

 同時に、フィッシャーFRB副議長もジャクソンホールでテレビのインタビューに応じ、「8月分の雇用統計などを注視し、内容が良ければ9月の追加利上げもあり得る」と示唆している。(参照:CNBC ; Fed’s Fischer: Economy is stronger, next jobs report a key for hike decision,)  フィッシャー氏は「雇用と物価は上向いており、FRBの目標に近づいている」と強調し、イエレン議長と同じく、利上げの条件は整いつつあるとの見方を示したのだ。
次のページ
注目は9月2日の雇用統計
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会