ジャニーズ事務所、SMAP解散騒動で注目!求められる芸能ビジネスの転換

エイベックス、3年で株価3分の1に……

 一方のエイベックスは株価推移は深刻で、3年で約3分の1にまで低下した。その要因は利益率の低下だ。エイベックスは売上高は微増を続けているものの、純利益は減少傾向にある。4年で純利益が約2倍になったアミューズとは対照的だ。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=106775  この背景には、同社が依存する音楽コンテンツ業界の変化がある。  コンテンツ業界もデジタル化のあおりを受けて、本やCDが売れなくなってきている。特にCDは悲惨だ。エイベックスはサイバーエージェントと組んで音楽定額配信サービス「AWA」を手がけるなど積極的な姿勢を見せているが、利益には結びついていない。  メディア業界同様、コンテンツ業界の変化も本来、事務所の追い風にしうる要因のはずだ。人々はデジタルでの消費を増やせば増やすほど同時にリアルな体験を求めるようになっており、ライブイベントの市場規模は拡大し続けている。  実際、EXILEグループを率いるLDHは、CDも売りつつ、ライブや教室事業を拡大させており、同社は昨年の決算公告においてエイベックスの倍にあたる年間80億円以上の純利益をあげていることが発覚し、話題になった。  エイベックスも”リアル”の重要性は重々認識しているようで、今年6月には観光旅行事業に参入した。今後の動向が気になるところだ。  芸能事務所業界は、メディア・コンテンツ業界のめまぐるしい変化の中でも通用し続ける強いタレントを持っているところが栄える。そういう意味でジャニーズは、”歌って踊れる”イケメンのアイドルを俳優業や司会業にも展開。  そんなタレントのマルチユースに圧倒的な強みを持つ事務所で、かつ安定的に新人を育成しており、これからさらなる発展が見込めそうだ。  しかし、かつての事務所の顔が解散するダメージはいかにも大きい。同社がもし上場していれば、一気に数百億円単位で時価総額は変動したのではないだろうか。 【決算書で読み解く、ビジネスニュースの深層】 <文/大熊将八> おおくましょうはち○瀧本哲史ゼミ出身。現役東大生にして、東大・京大でベストセラーの企業分析小説『進め!! 東大ブラック企業探偵団』(講談社刊)著者。twitterアカウントは@showyeahok
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