プレゼンで「まんべんなく見渡すジグザグ目線」が役に立たない理由

「1人ワンセンテンス」で惹きつける

「1人に対してワンセンテンス」、すなわち話し手が、例えば20名の聞き手に対してプレゼンテーションをするとしよう。まずは、左奥の人にアイコンタクトする。アイコンタクトは縦の動きだ。そして、ワンセンテンスを話す。再びアイコンタクトする。  それから、左奥から右奥へ、体の軸を動かしながらターンする。このように、アイコンタクト、1人対してワンセンテンス、アイコンタクト、ターンの4つに分解されたスキルを反復演習により体得すると、実にキレのある、聞き手を引き付けるプレゼンテーション表現力が発揮できるようになるのだ。表で説明すると次のようになる。

行動を分解して理解し、反復演習すべし

 実は、「プレゼンテーションでジグザグ視線をしましょう」とレクチャーされている内容で、期待されていることは、これらの4つのスキルを発揮することなのだが、レクチャーする側は漠然とジグザグ視線と言う表現で教えているので、聞き手に全く伝わらないどころか、冒頭のような目もあてらない事態が生じてしまっているのだ。  これでは、「トレーニングをいくら受けても、身に付かない、実践できない」という声が上がるのも当たり前だ。レクチャーする側は、身に付けるべきスキルを分解して、パーツパーツにして、そしてそれを反復演習して、参加者に体得していただく。このことこそが能力開発のためには不可欠なのだ。 ※「1人に対してワンセンテンス」のスキルは、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)のドリル4で、セルフトレーニングできます。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第12回】 <文/山口博> ※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身
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