GPIFの保有銘柄、個人投資家が真似しようとしたら?

保有開示の目的

 GPIFの保有銘柄開示は、受託者責任が問われ、国民や被保険者へ受託者責任を果たしていることを示す必要性が生じ、基本ポートフォリオの見直し等のニュースから国民の関心が高まり、また、世界の年金基金の標準は保有する個別銘柄情報の全面開示が一般的であることが背景にある。  保有銘柄開示に関して、期待される効果として、①GPIFの運用に関する透明性や説明責任の向上、②GPIFの運用に対する国民の信頼の向上、③(GPIFの運用に対する信頼が向上することで)国内株式市場・国内企業に対する海外投資家等の信頼の向上にもつながるとされている。  世界の年金基金の標準は保有する個別銘柄情報の全面開示が一般的であり、韓国を除けば即時開示になっている。各国内の株式資産額に対する年金資産の占有率は、韓国(12.5%)とGPIF(7.6%)は非常に高く、欧米諸国に比べ、影響度が非常に大きい。銘柄開示による市場への影響について、試行・検証が必要である。即時全⾯開示により、アクティブ運用マネジャーの戦略を類推されるといったことも懸念されている。  GPIFは、毎年7月に前年度末(4か月程前)時点の状況を公表することを最終目標としている。第2回のGPIFの保有銘柄開示は、2016年11月25日に予定されており、8か月前の2016年3月末時点の保有銘柄の情報が開示される。第3回が2017年7月で、2017年3月末時点の状況が公表される。第4回以降は、第3回と同様となる。銘柄開示による市場への影響についての検証結果やアクティブマネージャーに対するヒアリング等を踏まえ、市場への影響等の懸念がないことを確認した上で、次の段階に進む予定となっている。 <文/丹羽 唯一朗>
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