エンジニア出身で「波のない街、神戸」に人工波サーフィン施設をゼロから作り上げた男

ようやく開業。しかし課題も

 そうして辿り着いた7月27日のオープン。しかし、まだ課題は多いという。 「さんざん期待してくれたサーファーの人からしたらがっかりするかもしれないけど、当初は膝前後の初心者のサーフィン体験用ってことでオープンすることにしました。  原因は明確で、弊社特許の『キャリー式造波装置』のポテンシャルに供給電力が追いつかなかったこと。供給電力を大きく、モーターをサイズアップすれば単純に解決しますが、なにせ社員3人の零細企業。2億5000万円すでに投資しており、資金力が限界になってきたことです。  もちろん、単純に波のサイズだけ求めれば、頭サイズの波も出せたと思います。でもそれだとダンパー(いっぺんに崩れる波)に近くなり、ある程度の経験者ならばまだしも、初心者はまったく楽しめなくなってしまう。  自分自身がサーフィン未経験者というのもあって、やっぱり『初めてサーフィンする人でも楽しさがわかる』ことを優先したかった。だから、これだけ注目浴びてる中で、たとえAフレーム(真ん中からきれいに左右に割れる理想的な波)だとしても膝サイズの小波だなんてどれだけ批判浴びるか……と悩んだけど、やはり波質を優先したわけです」

仕事中に「テストライド」するスタッフ。彼らもサーフィン初心者ながら、楽しんでいた

 確かに、現在造波装置から出てくる波は小さい。しかし、押部氏は極めて前向きだ。 「波質を維持したままサイズを大きくするためにやるべきことはわかっています。すでに技術提携などについてのお問い合わせも頂いており、事業としても収益化はそう先のことにはならないはずです。  いまは『結局膝波かよ』と馬鹿にされるかもしれないけど、スノーボードのときのように結果を出せば自ずと評価もついてくると思っています」  オリンピックの追加種目候補として注目を集める中、ウェイブプールにも注目が集まっている。しかし、先行者である海外のシステムを導入すると、それこそ桁が違う話になる。国産の人工波造波装置によるウェイブプールは、コスト面からも大きな注目を集めている。  初年度は「ビギナー波です。サーフィン経験者の方には期待に添えず本当に申し訳ない!!!!!!!!!!」(押部氏ブログより)というスタートだが、スノーボード練習施設のとき同様、誰も手をつけていなかった分野に果敢に挑んでいる押部氏のチャレンジに今後も注目したい。 ⇒【画像】はコチラ https://hbol.jp/103367/%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-07-25-14-08-49 ●神戸REYES(http://www.kobe-reyes.com/) 料金:2時間3200円~ ウエットとボードのセットは2000円でレンタル可能。 ○ウェットスーツ着用義務(長袖・長裾) ○マリンシューズ等着用義務 ○利用年齢制限:10歳以上 〒651-1252 神戸市北区山田町原野1-1 みのたにグリーンスポーツホテル敷地内 みのたにグリーンスポーツホテルのゲートを通過し100mのところを右折 <取材・文/HBO取材班>
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